昔住んでいたビルでの出来事。
投稿者:fit (10)
私は昔都会のオフィス街のビルの中に住んでいたことがありました。
地元では有名な建設会社の本社が入るビルであり、実母が管理人として普段主に事務所のある2階の掃除をしていました。
私たち家族が住んでいたのはそのビルの4階で、そこには社員が使う食堂兼キッチンと私たちが住む2部屋の管理人室、そして風呂がありました。トイレは寝室として使っていた部屋から歩いて30秒くらいのところにある社員と共用のトイレを使用することになっていて、夜は真っ暗な廊下を歩いて行かなければいけなかったことから、両親のどちらかについてきてもらっていました。
そのビルに住み始めた最初の夏、今から30年以上前だったので部屋にはエアコンも設置しておらず寝室のドアと窓は開いたままで寝ていました。
建設会社ということで時々深夜でも残業をしている社員は複数おり、その社員たちが真夜中にテレビのある4階の食堂で休憩していることもありました。
時間は夜中のちょうど2時ごろでした。
私がふと目を覚ますと、廊下から物音が聞こえてきました。
普段実母が掃除に使っているほうきと床に置くと口が開くちりとりの音でした。てっきり社員が休憩をしてついでに掃除をしていたのかと思ったのですが、よく考えたらその時期はお盆で建設会社も長期休暇に入っている状態でした。実母もその時期は会社が休みで夜遅くに社員が帰った後の事務所の掃除をしなくてもいいと嬉しそうに話していたことを思い出しました。
なのでその晩ビルの中にいたのは私たち家族の4人だけということになります。一体誰が掃除をしているのかと思っていたら、その次に隣にある風呂から水が流れる音がしてきました。どうやらシャワーを誰かが浴びている状況だったようです。
一体誰がいるのか?ちょっと気になってしまい、普段怖がりのくせに開いているドアの方に行き、様子を見てみました。しかしながら廊下は真っ暗、食堂にも誰もおらず風呂の電気も消えていて水が流れる音もしていませんでした。もちろん残りの家族は全員寝ていて時刻は夜中の2時半ごろになっていました。
その後はその不思議な音を聞くことも、また心霊現象に遭うこともありませんでした。ただそれから約2年後に私たちが新たにマンションを購入して引越しし、さらにその数年後にその建設会社社長をはじめとした上層部が不祥事で逮捕されており、会社も倒産して今はそのビルは別の人の手に渡っているということです。
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