白装束の女
投稿者:優鈴 (1)
私が中学三年生の頃の話です。過去にも先にも霊を見たのはそれっきりです。
当時私は家庭の事情で大学生の兄と東京で二人暮らしをしていました。住んでいたアパートは外見も内見もキレイとは言えませんでしたが、部屋は1DKながらそこそこ広く私と兄が暮らすには充分でした。兄の部屋は勉強机とシングルのベッドがあり、その他には押入れが2つあるだけでした。部屋の仕切りはジャバラのカーテンのようなもので、そのすぐ隣がリビングで私が普段寝ていた部屋です。
その出来事が起きたのは兄の帰りが遅かった夏の日です。いつもは敷布団で寝ていたのですが、兄がサークルの飲み会で帰りが遅くなるからベッドを使っていいよと連絡があり、兄の部屋のベッドで寝ていました。いつもは敷布団で寝ていたので久しぶりのベッドで寝れることが嬉しかったのを覚えています。
23時頃に観ていたテレビ番組が終わり、さぁ寝ようとベッドに入りました。普段から寝付きは良い方だし、一度寝てしまうと朝まで起きれないタイプなのですぐに眠りにつくことが出来ました。しかし、その日だけは違いました。
身体が動かせない状態で目が覚めました。金縛りにその時初めてなったのです。あぁこれが金縛りか、本当に動かせないんだなと意外と冷静な反応をしていた記憶があります。そうすると掛け布団が足の先から圧迫されていく感覚になりました。圧迫というより誰かが踏みつけているような感覚です。身体が動かせないため目線だけを足下に向けると、寝る前は閉まっていた押入れが半開きになっています。おかしいな、閉まっていたはずなのに…と疑問に思っている間にも足下から圧迫されている感覚が上ってきます。足先、太もも、お腹と近づき胸を圧迫されたときでした。うっっっっ!!急に息ができなくなりました。声を出そうにも圧迫されていて口をパクパクさせることしかできません。そしてその圧迫が首にまで差し掛かった時、目の前に白装束の女が現れ、私の首を絞めていました。髪が長く顔は見えませんでしたがその隙間からニヤニヤした口元が見えたときに恐怖で思わず目を瞑りました。その間も息ができず金縛りで身体を動かせず、このまま死ぬかもしれないと思った時、
金縛りがジワジワと指先からほぐれていく感覚になりました。その勢いのまま目を瞑ったまま左手で目の前を払い除けました。何に当たるでもなく空振りしベットにボスンと落ちるだけでしたが。恐る恐る目を開けるとそこには女も何もおらず、外の街灯の光と時計のチクタクという音が聞こえるだけでした。
ジャバラのカーテンを開けリビングにいくと兄が帰ってきていたようで、寝ていましたがお兄ちゃん!!金縛りにあって首絞められた!!と叫びました。寝ぼけまなこの兄は信じるはずもなくそんなわけないでしょ、まだ3時じゃん、早く寝なよ。とまた寝に入りました。
そこからは眠れるはずもなく、朝になるまで寝ないようにしていました。
結局私が大学を卒業するまで7年間住みましたがその時一回きりでそれ以降は見ていません。
夢なのか何なのかは分かりませんが当時の事は今でも思い出します。夢でこんなに覚えているのも不思議なものです。
そして、朝見ても押入れが半開きになったままだったこと、あの白装束の女のニヤリと笑った口元が今でも忘れられません。
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