お墓の場所を教えてくれた透明な祖母

私は幼い頃両親が離婚し母親に引き取られました。隣の県にある父親方の田舎の祖父母宅には毎年盆、正月には帰っていましたが、離婚を機に足が遠のき、成人してから疎遠になってしまいました。久しぶりに帰ったのは祖母の葬式。翌年には祖父も後を追うように亡くなってしまい、プッツリと縁が途絶えてしまいました。

私も子供が生まれ、慌ただしい生活の中では祖父母を思い返す事もありませんでしたが、子供が4歳になった頃に「結婚も子供が産まれた報告もしていなかったな」と思い、お墓参りに行く事になりました。恥ずかしながら一度もお墓参りには行っていませんでした。

記憶とグーグルマップを頼りに、妻と息子と三人で自宅から3時間かけて車で向かった久しぶりの祖父母宅は既に廃屋となっていました。場所を聞いていた墓地に向かいましたが、田舎の古い共同墓地で、見渡す限り5～600基のお墓。読めないような古い墓も多く、管理人もおらず妻とも「これは無理だね、探していたら日が暮れる。ここで手を合わせて帰ろう」となりました。

すると4歳の息子が「こっちだよ」と真っすぐに歩き始めました。訝しながらついていくと奥まった所にある一角に我が家のお墓があり、妻と顔を見合わせました。とても普通にわかる場所ではありません。「何でわかったの」と息子に聞くと「透明のおばあちゃんがこっちだよと教えてくれた」との事。
「最初に家を覗いた時から一緒にいたよ」また「初めてじゃない、これまでも何度か話した事がある」との事。
帰ってから祖母の写真を見せると「この人！」と。
にわかには信じられませんでしたが、一度も迷うことなくお墓の場所に連れて行ってくれた息子の言動から、亡くなった祖母が導いてくれたんだと思いました。それ以来年に1度は必ず家族でお墓参りをしています。