カラオケ店の女
投稿者:ひばり (4)
これは私が学生の頃に体験したお話です。
友人と2人で都内のカラオケ店に遊びに行った時のこと。
いつものお店が満室だった為初めてのカラオケ店に入店したのですが、部屋に入った途端霊感を持つ友人が「なんかこの部屋怖い」と言いました。
私は全く霊感が無いので「えーなにもしかして霊いんの?ヤバいじゃん(笑)」と笑って気にせず、友人も気にはしつつも歌い始めました。
しかし時間が経つにつれて友人の落ち着きが無くなっていきました。
周りをキョロキョロと見回したり急にバッと振り向いたりビクビクと怯え始めたのです。
ついには部屋の隅に女が立っていると言い始めました。
あまりの慌てぶりに一旦落ち着かせようと私は友人にドリンクバーを取ってくるように促し部屋の外に出しました。
その途端ものすごい勢いでドアがバンッと閉まったのです。
流石に私も焦って急いでドアを開けようとしたのですがドアはびくともしません。
ドアをガチャガチャやっているうちにドリンクバーを取ってきた友人がドアを開けるとなんとあっさりと開くではないですか。
ただ私は今まで一切霊的なものに遭遇したことがなかった為と友人を怯えさせない為にと「きっと外との風圧で閉まったんだろう」と自分の中で不安を解決させてカラオケを続行したのです。
それからしばらくは何事も無く友人も落ち着きを取り戻し楽しくカラオケをしていたのですが、ふと私の歌に誰かが声を被せてくるのに気付きました。
カラオケ店では他の部屋の音が聞こえることもあるので勝手に人の歌にハモリを入れることもあります。
ですが今回はそういった類のものではありませんでした。ノイズのような、とにかく歌では無いのです。
次第に音が大きくなってきて正体が分かりました。
それは人の呻き声。女性の低めの声で下からしゃくり上げるように呻く声がはっきりと聞こえてきます。
それは友人にも聞こえているらしく2人で顔を見合わせた瞬間、友人が何かに気づいたように私の後ろを見るとバッグを鷲掴みにし勢いよく部屋を飛び出していったのです。
これはまずいと流石に感じた私もバッグを持って友人の後を追いかけ部屋を出ました。
友人は受付で店員さんに「部屋に霊がいる」と訴えています。
するとそれを聞いた店員さんが「すみません、本日のお代は結構ですのでお気をつけてお帰りください。」と言いました。
料金は払いますとこちらが言っても店員さんは「お代は結構です」の一点張り。
それならばとお店を後にしましたが、あれからあのカラオケ店には近づいてすらいません。あれは一体何だったのでしょうか。
お代を