白い布で顔を覆った女性
投稿者:ひばり (4)
私が小学校六年生の夏休みの夜の怖い出来事の話を書きます。
あれは私にとって最初の怖い出来事でした。
とても暑い夜でした。網戸にして窓を開けて、扇風機をつけたまま、部屋の蛍光灯の小さな明かりだけをつけて眠っていました。
寝汗と寝苦しさで真夜中に私は目を覚ましました。
そしてその瞬間凍りついたように私は身動きできなくなりました。怖くて体が動きませんでした。
口を動かすこともできませんでした。眠っていた私のすぐ右横に白い和服姿の女性が顔に白い布をつけて座っているのです。
知らない人が部屋の中にいる。普通ではない姿の知らない人がすぐ側にいる。
怖くて、私は静かに、息の音も聞こえませんように、気づかれませんように、怖くて私は静かに、とても静かに息をするのがやっとでした。
私にできることはそれしかありませんでした。
さっきまで暑くて寝苦しかったのに、怖さのせいなのか、私は震えそうでした。ゾクゾクと、変な寒気がしていました。
怖くて目を瞑ることもできずにいると、突然側に座っていた女性が私の上に覆い被さろうとしました。
こわい!! だれか!! おかあさん! おかあさん! たすけて!!と私は心の中で必死に叫んでいました、でも声にならないばかりか口も体も動かすことができません。
怖くてたまりませんでした。座ったままの状態で、立ち上がりもしないで白い和服姿の女性は私の体の上に倒れ掛かってきます。
こわい! あのひとが私の体に重なったら私はどうなってしまうんだろう。私はどうなるんだろう。
私の体に重なる寸前に、私は気を失いました。
目が覚めた時には朝になっていました。部屋には誰もいませんでした。部屋の様子は何も変わってはいませんでした。
気を失う瞬間に、私は何かを見たような気がしました。でもそれをどうしても、それがなんだったのか、思い出せませんでした。
何十年と経った今でも頭の中に焼きついています。
真っ白い和服を着て、白い布で顔を覆った女性。暗い部屋の中に座る白い和服姿の女性が。
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