ドッキリの真犯人
投稿者:赤壁二世 (13)
あまりに面白かったので俺はこの辺で手を打つことにし、カツラをとって正体を見せる。
「俺だよ、俺。ドッキリの仕返しだ、参ったか」
なんてどや顔でTに言ってやった。
すると、Tは本当にドッキリの事を忘れていたらしく、数秒考えた素振りを見せた後に、
「あ、あー!マジか!あん時のことまだ根にもってんのか」
と、してやられたといった表情を浮かべながら羞恥心から項垂れる。
「因みにFも協力者」
「マジかよー」
俺は手短にTにドッキリの仕返しの全容をネタバレし、今日のためにFと綿密な打ち合わせをして下準備をしていた事を教えた。
そして、俺は目的であるTの情けない悲鳴を聞いた事で満足したので、未だ遠くで佇み演技を続けているFにドッキリの終了を告げながら手を振る。
「Fー!ドッキリ終了、おつかれさん!」
しかし、Fは一定の距離を保ったまま微動だにしなかった。
Tを追いかける演技の際、Fは墓所の通路を通っていたが、今は誰の墓とも分からない二つの墓の真ん中辺りから膝から上を覗かせてこちらの様子をうかがっている。
「役者だな、あいつ」
Tがそんなことを言った時、墓所とは違う道から焦げ茶色のワンピースを着たFが、
「おーい、悪い、トイレ行ってたわ」
とか言いながら悪びれもなく駆け寄ってきた。
俺とTは瞬時に「ん?」と首を傾げ、互いの顔を見合った。
駆けつけたFは肩で息をしながら、
「急に小便したくなって、その辺で立ちションしてきたわ」
と、大学生にもなって恥ずかしげもなく立ちションしてきたと報告し、その手で頭を掻いていた。
「え、じゃあ、あれ誰なん?」
Tが墓所に佇む白い人影を指差すと、指先を辿るように視線を向けたFが一瞬だけ肩を跳ねて、
「うわ、怖っ」
と小さく驚いたので、俺とTは益々困惑する。
「マジお前らの知り合いじゃねえの?」
「いや、俺はFとしか打ち合わせしてないし……」
「え?あれ知らん人?」
未だにドッキリの延長だと疑うT。
Fだと思っていた俺。
よく把握できていないもののアクシデントにワクテカしているF。
ドッキリの仕掛け人を覆う......
こわ…
好き