ガソリンスタンドにいたヒト
投稿者:砂の唄 (11)
町に入るころにはカーラジオは元通りになっていて、何事もなかったかのように何かの音楽が流れていました。もうガソリンのことなんか頭にありませんでしたが、無事アパートまでたどり着くことができ、その日はすぐ眠ってしまいました。
それから1か月ぐらいの間あの日のことを忘れたことはなかったのですが、ある時からあれは夢だったんじゃないかと思うようになりました。私自身夢だとは納得しきれていなかったので、あの日のことを確かめるために私はもう一度あのガソリンスタンドへと向かいました。
人の多い休日の昼間に行きましたが、あのガソリンスタンドはちゃんとありました。看板や給油機の配置などあの日見たものと全く同じで、間違いありません。私がガソリンスタンドに入った時には他にも給油している人たちがたくさんいて、緑の作業着を着た店員さんも何人か見かけました。
一つだけ気になることがありました。看板には営業時間が7時~22時となっていたのです。私は店員さんの一人に営業時間について聞いてみました。営業時間はオープンした5年前から変わっていないし、延長したり短縮したりしたこともないと。営業時間外でも給油できるか聞いてみましたが、照明は全部消えているし、何より給油機が動かないから無理ですと答えてくれました。
私はガソリンスタンドを出てそのまま帰路につきました。さすがに何か事故や事件とか悪いことがありましたかなんて聞けないので、結局、あの日の出来事に関する手掛かりは得られませんでした。
私は帰る途中、あのぶつぶつと呟くような声について考えていました。あれはあの黒い人のようなものが発していたに違いないと確信していましたが、なんと言っていたのかが気になっていました。ガソリンスタンド内で聞いたのは本当にぶつぶつとしか表現できないものだったのですが、車内にいたあれは確かにこう言っていたはずでした。
「コロシテ」
黒い人は一体何なんだ…
謎すぎて怖すぎる…
まじでそういう物が見える体質なら、
運転はやめた方がいいでしょうね。
ショッピングモールまで三時間ってもちろん一般道でしょうけど、疲れてたんでしょうね。疲れたら憑かれる人ってやっぱ体質なのかな?
殺してほしい幽霊?