背中を歩く女
投稿者:おおばやし (6)
あれは中学生の時だった。
19:30ごろ犬の散歩に出発。秋も深まっていたので、日が落ちるのも早く、その頃の外は真っ暗。散歩コースにはお墓の前を通るのだ。何度も歩いている道なので、いつも通りお墓の前を通って帰宅。ご飯を食べてお風呂に入り、22時頃には2階にある自分の部屋に上がった。
その日は何か落ち着かなかった。散歩から帰ってから背中に寒気を感じ、勉強しようにも後ろが気になって集中できない。何をしても良くないなと感じ、23時頃にはベッドに入る。もともと金縛りにあいやすい体質だったので、仰向けには寝ずに横向きに寝ようとする。しかし、悪寒がして全く寝れない。
「そうだ!うつ伏せに寝ればいいのか!」
そうして、うつ伏せになったとたん、
「バキッ」
全身鷲掴みにされたように体が硬直し、息もできない。ドクドクと心臓が脳に移動したかのように鳴り響く。次の瞬間、
「ずしり。」
何かが私の背中の上に立つ。本当は見えなかったが、頭の中で私の背中に立つ女の映像が映る。重みで私の体がベッドにめりこむ。全く体が動かない。怖い、ものすごく怖い。
「ずしり。ずしり。」
女が私の頭上まで歩いてきた。この恐怖が去るのをじっと待つ。どのくらい時間が経ったのだろうか、もう大丈夫かと体を動かそうとしたとき、
「メキメキメキ。」
今までよりも強く女が踏みつける。体は動かせない、声も出せない。この恐怖から逃れられないのかと不安しかなかった。すると、
「お母さーん、お母さーん。」
と急に私が頭の中で叫び出した。そのとき、
「ドタドタドタドタ!!!」
見えない何かが私の家の階段を登る映像が頭の中に映る。そして、
「バンッ」
何かが私の部屋を開けたとたん、
「ヒュルルルルル…」
階段を登ってきた何者かと女の気配が跡形もなく消えた。
ゆっくり体を動かし、ドアの方を見ると、ドアは閉まったままだった。
私は今でも、私自身の守護神か、墓の者が助けてくれたのだろうと信じている。
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