事故の記憶
投稿者:ネギ (1)
自分がクルマにつぶされたと思ったのは、夢かなにかだったのでしょうか。
気分が悪いので、このコンビニで買い物をしたり、休憩したりするのはよして、もう少し先に行ったところのコンビニにしよう、とぼくは思い直しました。
そのときです。ぼくは自分が手になにかもっていることに気がつきました。
くしゃり、という包装の音がしました。
それは、自分が夢のなかで買おうとしていたたまごサンドでした。
それが、未開封のまま手のなかにあります。
左手のドリンクホルダーには、買おうとしていたコーヒーもあり、封を開けて一口飲んだ形跡がありました。
してみると、あれは本当に起こったことだったのでしょうか。
無事に事故から生還した記憶も、お金を払った記憶もぼくにはありません。
むしろ、もう駄目だ、自分はおしまいだ、と思っていました。
スマホを取り出して決済の内容を確認すると、数分前に支払は済んでいました。
タチの悪い夢遊病者のように、無意識のうちに万引きしたわけでもないようで何だかほっとしました。
クルマや店内からどやどやとひとが出てきました。
けが人は出なくて済んだのか、運転手が店員にぺこぺこと頭を下げて平謝りしていましたが、救急車を呼ぶでもなく、ホウキを持ち出して店員も運転手も同乗者もみんなでガラス窓の破片を掃除し始めました。
ぼくが見たものはいったい何だったのでしょうか。
夢だったのだとすれば、たまごサンドとコーヒーの説明がつきません。
ぼくは確かに数分前にそれを買っていて、スマホにも決済の記録が確かに残っている。
けれども、本当に買ったのだとすると、ぼくはあのとき、白いセダンと商品棚に挟まれて、この世のものではないということになる。
なにか恐ろしいものを見てしまった気がして、全身が総毛立ちました。
とてつもなく恐ろしかったのですが、そのたまごサンドとコーヒーは、どういうわけか絶対に平らげてしまわなければならない、という強い思いに駆られました。
なぜそうなのかは一向にわかりませんでしたが、とにかくぼくはたまごサンドを食べ、コーヒーを飲みました。
食べ終わると、なぜか涙が出てきました。
ほろほろと無性に泣けてきて、ぼくはしばらく泣いていました。
ひととおり泣いてしまうと、すっきりと爽快な気分になって、もはやあれほどひどかった眠気もどこかに行ってしまいました。
この状態なら何とか運転をつづけることができそうです。
この件が気にかかったもので、帰ってから、過去に同じような事故がなかったかインターネットで調べられるだけは調べてみました。
同じ市内、同じ国道沿いにある別のコンビニでは、アクセルとブレーキの踏み間違いによる痛ましい事故があったらしいのですが、ぼくが不思議な思いをした店舗とは別の店舗(というよりも別の会社のコンビニ)だったようです。
あの事故の記憶は何だったのでしょうか。なにものかがなにかをぼくに伝えようとしていたのかもしれない、などと考えてみたこともありますが、事故が実際に過去に起こったわけでもない場所で、いったい、だれがなにを伝えようとしたのか、いまもって謎です。
夢の中の出来事? それとも・・・コエー!!
ま、とりあえず無事で良かった!
これぞ不思議な話って感じでイイ
独特な話ですね
なんとも言えない不気味さがある
パラレルワールドでしょうか。何はともあれ、御無事で何よりです。
怖いけど句読点多すぎ
最初のって走馬灯だよね
不思議な事は、ありますがその最中は実感があまり湧かないものです。