私だけに聞こえた謎のすすり泣き

私が高校生2年生の頃です。

当時夏休みで私は友達を誘い肝試しに行く事にしました。

心霊に興味津々だった私に対し一緒に行く友達はお化けが大の苦手でした。

付き合いとは言え肝試し前から涙目で「怖い、怖い」と震えていました。

私はむしろワクワクしており事前に決めた心霊スポットへの道のりでは「超たのしみ～」と呑気に言っていた程です。

この時肝試しにやって来たのは廃ホテルです。

閉館して20年以上経っておりガラスは割れ中には落書きが大量に描かれている様な所でした。

不気味な雰囲気にゾクゾクして早速中に入ってみる事にしました。

友達は私にしがみついて何とか後ろを付いて来ている様な有様です。

半分ほど探索した時、後ろからすすり泣く声が聞こえてきました。

とうとう友達が泣き出してしまったかと流石に可哀想になり私は外に出る事にしました。

「何も出なかったね」と感想を述べながら泣いてしまった友達を慰めようと顔を見た所、濡れているはずの顔が全く濡れていません。

「泣いてたんじゃないの？」と尋ねると友達は首を傾げ「泣いてないよ」と言います。

では、あの時私が聞いたすすり泣きの声は何だったのでしょう。その声は私にしか聞こえていなかったようです。

何も出なかった事はありませんでした。しっかり何かが化けて出た肝試し体験でした。