霊の通り道だった温泉宿
投稿者:りー (118)
短編
2022/03/28
15:19
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昔友達と行ったある温泉宿での話です。
隠れ家的な温泉宿で都会の喧騒から離れてのんびりした雰囲気でした。
部屋も綺麗で畳の良い香りがしていました。一緒に来ていた友達も満足げです。
しかし、1人の友達は神妙な面持ちで「ここの部屋、霊の通り道だよ」と言います。
彼女は幼い頃から霊媒体質でよくこう言う事を言います。
私や他の友達も「また始まった~」といつもの事として一笑に付しました。
実際今まで彼女と居て心霊体験をした事はありません。
軽くあしらい温泉に浸かったり料理を食べたり霊の事などすっかり忘れて楽しみました。
夜寝ていると「カサ…カサ…」と音がして目が覚めました。
虫でも居るのかと不安になって目を開けると私の上を何かモヤの様なものが横切っています。
煙の様な薄布の様な何とも形容出来ない物体がフワフワ浮かんでいます。
動く度にカサカサ音がして原因はこれだったのです。
突然の事に驚くと共にこれが友達の言っていた事かと合点が行きました。
1時間ほど不思議な光景を眺めていましたがやがて最後のモヤが行ってしまうと元の部屋の雰囲気に戻りました。
翌朝、例の友達に昨夜の事を話すと喜ばれてしまいました。初めて信じてくれたと。
私としては余り良い体験では無かったのですが友達の笑顔に免じてまぁ良いかと思う事にしました。
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