暗闇で、覗き込む
投稿者:ニッキー (1)
長編
2021/01/21
15:16
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暗闇の廊下、うつむく白衣姿の女性。白くぼやけたその姿が、廊下の先にぼんやりと浮かんでいた。
震える身体を抱きしめながら、彼女は息を殺す。
こつん──
小さく響いた足音に、彼女は叫び出しそうになる。
こつん──こつん。
その足音はトイレに入り、個室の前までやってきた。
こつん。
そしてその場で立ち止まっているようだった。
彼女は必死で恐怖に耐え、震え続ける。
──こつん。
それきり、足音が聞こえなくなる。
──去ったのか?
ドアを開ける勇気はない。
彼女はがたがたと震え続ける。
──助けて。
ドアの向こうに人の気配は感じない。けれど、人ならざる者に気配など存在するのだろうか?
怖くて扉が開けられない。けれど、ここで耐えていれば、帰りが遅いことに心配した先輩看護師が探しに来てくれるかもしれない。
だから、それまで──
足音は聞こえない。
ドアの外に「それ」がいなくても、震えた足では歩けない。
絶望的な気持ちになって天仰いだら──
トイレの個室、ドアの上から、顔のない看護師が覗いていた。
従兄の話では、その生徒は朝方発見されたが、ほとんど気が狂ったような状態だったそうだ。
祖父が、入院した。
命に関わるような病気ではないが、1週間ほど大部屋に入ることになった。
ある夜、ふと目が覚めたら、カーテンの向こうに人の気配がした。
時計を見たら真夜中で、おそらく見回りの看護師だろう、と思いそのまま再び目を閉じた。
──けれど、その気配は一向に消えない。
何をしているんだ、と目を開けたら、顔のない看護師が祖父の顔を覗き込んでいたそうだ。
退院してから祖父から聞いた話だが、それでどうしたのか訊ねたら「幽霊だと思って目を閉じてそのまま寝たら、朝には消えていた」となんとも祖父らしい答えが返って来た。
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高校生の実習生は夜勤なんてしないよー
顔ないのに覗きこんだんだ!
こわいのかな?
いたずらだろね!