放置された神社
投稿者:メモ帳 (2)
短編
2022/03/04
15:39
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Sさんの地元には、長年放置されている古びた神社がある。土壁は剥がれ落ち、屋根も所々穴が開いている。
今にも崩れてしまいそうで危ないのだが、取り壊される事なく放置され続けているのだそうだ。
最近、Sさんが実家に帰ったときに、その神社の話題になった。なぜ取り壊さないのか、と父親に聞いたところ、神社に行けば分かると言われたらしい。
それならと翌日、父親と神社に行った。正面に周り、あそこから中を覗いてみろと、父親が引き戸を指差した。
ボロボロの引き戸は、ズレて隙間ができ、そこらじゅうに蜘蛛の巣が張っていた。Sさんはそれらを払いながら、覗いてみた。
中には、髪の乱れた着物姿の女がうつむいてぼーっと立っていたそうだ。
驚いたSさんは、あれはなんだ、と聞いた。
父親が言うには、なぜあの女がいるのか、いつからいるのか、誰にも分からないそうだ。父親が物心ついた頃からすでにここは廃虚になっており、あの女も存在していたらしい。少なくとも50年以上はこのままだという。
神社が自然に壊れて、あの女がいなくなるまでは、誰も手をつけないだろう、と言っているそうだ。
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