太夫は冥途の花道を逝く
投稿者:螢 (1)
長編
2022/03/06
21:31
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お寺に入って供養塔を拝んでいる時、お線香の煙がふわりと広がって女の顔をかたどりました。見間違えるはずもない、花魁の顔でした。私は涙ぐんで彼女と向き合い、そっとキスしました。煙の味がするキスでした。煙でできた花魁の顔が儚げに微笑みます。瞬き一回のちに煙は薄れて消えてしまい、永遠のお別れとなりました。
現在、私は店を辞めて資格の勉強をしています。もしあの人に出会わなければやり直すきっかけは掴めなかったと思います。あるいは昔の自分とよく似ている私をほうっておけず、冥途の花道を見せてくれたのでしょうか。
真相は不明ですが……今度もまたお寺に行き、彼女の冥福を祈ってお線香を上げたいと思います。
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素晴らしい
面白かったです
実際に花魁というか遊女の最後の地となるお寺の話を聞いたことがあります
確か都内だったような
怖いというより美しさを感じる良い話でした
この時代の遊郭程では無いが戦後も各地で有ったと聞きます そして父方の実家も遊郭女子衆宿屋をしていたと祖母から聴いたことが有りました 男は天国かもしれませんが女子衆(おなご)は監獄 辛いさねぇ
ここで、こんな話が読めるとは嬉しい誤算でした。
花魁は、あなたを救うことで、救われたのではないでしょうか。
花魁の果たせなかった夢、あたたかい幸せを掴んでください。
切なくて良い話だった。
思いがけず、美しく切ないお話でした。
面白かった!!
美しい話でした
めっちゃよかった
美しいお話でした。