見えない猫
投稿者:灰色 (7)
日曜の朝のことでした。冬の朝特有の肌を刺すような寒さ。私は布団から出る気にもなれずに微睡んでいました。
ふと気づけば、指先に何かが当たっている感触があります。この時なぜか「猫に甘噛みされている」という考えが頭の中に浮かびました。もちろん飼い猫は居ませんし、個人的には犬派です。猫とはあまり接点がない私は困惑しました。その”見えない猫”は心地よい甘噛みで私の指先を弄んでいます。しばらくするとチクリと痛みが走り、猫の気配が消えました。私は再び夢の中へ。
しかし今度は体の上に重みを感じます。早く起きてと言わんばかりに私の体を揺さぶるのです。薄目で様子を伺うと、布団は見えない猫の動きに合わせて波立っているように見えました。この時は寝ぼけているだけだと思い無視してしまいました。
猫は耳元に移動し、舌を使って私を夢の外へと連れ出そうとします。私はこの猫の執念深さに可愛さとは違った不気味なものを感じはじめていました。このままだとこの猫に食われる…そんな嫌な考えがじわじわと侵食していきます。
次の瞬間、再び体の上に重みを感じると同時に金縛りが私を襲いました。ハッとして目を開くと黒猫がこちらを向いて座っていました。目や口は見えず、立体的な影のような姿です。
「早く起きろと言っただろう」
「あれだけ警告したのに…」
そんな言葉が感じとれました。すぐにその姿は消えましたが、金縛りは解けません。食われる…恐怖を感じつつ必死に抵抗しました。男のくせにビビりな私は泣きそうになりながらも何とか金縛りを解くことができました。
冒頭で猫との接点があまりないと言いましたが、一つだけ忘れられないものがあります。小学生の頃、自宅近くで車に轢かれた猫の姿を見たこと。「可哀想に…轢いた人間を恨んでいるだろうな」と思ったことを覚えています。死んだ動物を見て同情すると霊がついてくるというような迷信(?)がありますが、実際に亡骸をみるとなかなか難しいものです。
理不尽な死に方でこの世を去った動物たちは、死神の使いとなって私たちのもとへとやってくるのかもしれません。あの見えない猫は、私が死んだ猫に同情したことがあると知っていたからお情けで警告してくれたのでしょうか?
私も猫に纏わる夢なのか?夢じゃないようなどちらか分からない状態で、窓の外から私を優しい声で「起きなさい、早く起きなさいもう朝ですよ。」と言う声が聞こえてね。
もう少し寝かせて、後10分とか後5分ほどだけでいいから寝かせてと言っていたら段々目が開き耳から聞こえる声は猫が喋っているようなの鳴き声が聞こえ、さっきの優しい声はなんだ猫だったのかと思ったわ。
幽霊でもいいからバッチコイ(ΦωΦ)