川の怪異
投稿者:灰色 (7)
短編
2021/03/05
10:49
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知人の救急隊員の話。
その方がまだ新人だった頃のある冬。
水難救助の指令が入り現場へ。
女性が橋から川に飛び込んだようだ。
しかし、目撃者曰く「揃えてあった靴が消えた」とのこと。
指揮本部でその話を聞いた別の隊員が「あ〜アレかぁ…」と呟く。
現場の川は浅く、飛び降りたとしても流されず遺体は橋の真下にあるはずですが姿はありません。。念のため救助隊がゴムボードなどを使い探すも発見できず。1時間ほどで捜索終了。
撤収後の道中で先程の言葉の意味を聞くと 「2、3年に1回はあるやつだから。まぁ誰も死んでないからいいだろ?」そう言って誤魔化されたそうです。ミラーで小さくなる橋を見つめる知人。まだ橋の上にいるパトカーの赤色灯が夕闇を赤く染めている。その刹那、悲しげな雰囲気を漂う人影が橋の欄干に腰掛けている姿が照らされた。
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