上履きおばけ
投稿者:くやり (24)
短編
2022/02/28
15:18
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私が地方都市の小学校で教師をしていた時の話です。
ある日の放課後、居残っている児童がいないか教室を見回っていた時の出来事です。
夕暮れの廊下を歩いているとパタパタ……と軽い足音が響き渡りました。
まだ子どもがいるのかと思って振り向けば誰もいません。化かされた気持ちで前に向き直れば、またパタパタと足音が再開します。
「低学年の子が先生をからかって遊んでるのか…?」
などと早合点した私は、このかくれんぼに付き合ってやろうと思い立ちました。
するとまたしても足音が響き、階段を駆け上っていきます。
「待て!」
足音を追いかけて三階に行くと5年生の教室が並んでいます。足音が吸い込まれていったのは5年1組でした。
引き戸をわざと荒っぽく開けて踏み込み、目を疑いました。閉め切られた窓の前に一対の上履きだけがちょこんと置かれています。生徒は見当たりません。
掃除用具入れや教壇の下に隠れてるのではないかと疑って調べてみたものの、当てが外れて困惑します。
「先生の負け!降参!」
両手を挙げて叫んだ直後、思いがけない事が起きました。窓の手前の上履きが高々ととびはねたのです。次いで聞こえてきたのは甲高い子どもの笑い声でした。
一体アレはなんだったのでしょうか?手に取り確認した所、ボロボロの上履きには学年と名前が記されていませんでした。
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