カラオケ
投稿者:やんか (2)
これは私がまだ中学生だったときの話です。
記憶を頼りに書き下ろしているので、はっきりと思い出せる部分とそうでない部分があるのですが、聞いてください。
中学生になってから友達になったAちゃんは声優になるのが夢で、遊ぶ時も声優になるための練習などをしていました。
私はどちらかといえば興味はなかったのですが、Aちゃんと一緒に遊ぶのが楽しかったのでその練習にも毎回付き合っていました。
練習と行ってもお互いにキャラクターを決めてアテレコごっこをしたり、歌の練習ということでカラオケに良く行くぐらいでしたが。
そんなある日の日曜日、今日はカラオケに行こうというAちゃんの誘いにのって、駅前にあるカラオケに向かいました。
何度も通っているカラオケ屋でしたが、その日はなかなか混んでいるようで、いつも案内される一階ではなく二階の、一番端の部屋に案内されました。
一階に比べて二階は窓がなく、廊下も薄暗かったのを覚えています。
なんかいやだな、と思いながらもせっかくのカラオケなので口には出さず。
「はじめての部屋じゃない?」
そんな事を言いながら部屋に入ると
寒い。
季節ははっきりと覚えていませんが、真夏ではなかったと思います。
「前の人が冷房つけてったのかな、寒いよねぇ」
そう言いながら、エアコンを入れ直し
荷物をおろしました。
部屋は角部屋で狭かったです。
壁際に3人がけのソファが置いてあって、小さなテーブルを挟んでテレビがある、というまぁ一般的なカラオケルームでした。
先に入ったAちゃんが真ん中に座り、私は入り口に近いその隣に座ります。
中学生なのでお金もそんなになく、フリータイムではなく2時間で部屋を取っていました。
なのでソファに座ると2人ですぐに分厚い本を一冊ずつ手に取り目当ての曲番を探し始めました。
この時代はまだデンモクなかったもので…
Aちゃんはまだ本を見ながら曲を選んでいたので、私が先に曲番を打ち込みます。
すぐにピピッと受信音がして、曲が流れ始めました。
一番を歌い終わって、少し長めの伴奏に入ったときでした。
『アァー!!』
突然エコーがかった声が部屋に反響しました。
男の子の声でした。
反射的にAちゃんの方に振り向くと
Aちゃんは膝に広げた本をじっと見ています。
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