禁じられた蔵
投稿者:だれパンダ (31)
短編
2022/01/25
12:14
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私は毎年夏休みに田舎の祖父の家に遊びにいきました。祖父の家はとても広く、いとこたちとかけっこやかくれんぼをするのが楽しかったです。
しかし庭の隅の蔵にだけは絶対入ってはいけないと強く言い聞かされていました。
とはいえ禁止されるほど魅力を感じるもので、やんちゃ盛りの私といとこは示し合わせて蔵へ忍び込みました。蔵の中は真っ暗で何も見えず、手探りして進むしかありません。
「どこ~Kちゃん?」
いとこの名前を呼んで歩いていた時、指先に固い物が触れました。なんだろうと思って目を凝らすと木製の格子が浮かんできます。正面に時代劇で見るような牢屋がありました。
びっくりして見直すと格子の向こうには着物をはだけた女が座り込み、手掴みにした何かをガツガツ食べていました。
女の手元を凝視し、彼女が食べているのがネズミだと理解した瞬間に絶叫しました。
その後どうやって蔵の外に出たかは覚えていません。気付けばいとこや親族に囲まれ、凄まじい剣幕で叱責されていました。
あれから十数年、蔵の取り壊しが決まった際に祖父が重たい口を開きました。
あの蔵は大昔に牢として利用されていたそうです。
私が目撃したのは蔵に監禁されたまま、飢えて命を落とした女性の霊だったのでしょうか。
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蔵の座敷牢って意外と多いみたいですね
知人の実家にもありました