迷子
投稿者:ツキヒコ (2)
幽霊とか祟りとかの話じゃないんだけど、個人的にすごく怖かった話。
ある日コンビニの帰り。公園の前で泣いてる男の子を見かけた。あー、迷子だなって一目で分かって、周りに誰もいないし、声をかけた。俺はよくお人好しと言われる。そのうち損をするぞ、とも。人助けしてるんだからそんなこと言うなよーwと返していたのだが、今思えばそれは当たっていた。
どうしたのか、何歳か、とか聞いて、やっぱり迷子だったからコンビニで買ってきたジュースをあげたら、案外すぐ泣き止んでホッとした。8歳で、母親とはぐれたらしい。乗り掛かった船だし、近くの交番に行こう、と俺は手を繋いで歩き出した。あのとき電話で警察を呼んで預けていれば、と俺は今でも後悔している。
男の子が好きだと言う仮面ライダーの話につき合いながら歩いていると、すぐに笑顔になって、子供は表情豊かだなぁなんて思ってたら男の子が突然
「お母さん!」
って叫んで向かいの道を指差した。見たら、エコバッグ提げた母親らしき人がいた。物腰柔らかそうな人で、怖い人じゃなくて良かったと思った。母親は横断歩道を走って渡ってきて俺を訝しげに見詰める。ジャージ姿だったし、えっ、これまさか誘拐だとか思われてる?やべぇと思って、精一杯笑顔作って
「この子のお母さんですか?実は~」
と事情を話そうとしたら、男の子が俺の手をパッと離して母親に駆け寄って
「助けてー!このおじさんにユーカイされた!」
って言いやがった。俺もうパニック。俺はお兄さんだとか思ってる場合じゃない。ガキはニヤニヤ笑ってやがる。母親はガキを後ろに隠して、ケーサツ呼びますからね!ってスマホ弄りだす。人が集まりだす。俺更にパニック。違いますって!って必死で弁解してる間に警察到着。警察はハナから俺を疑ってた。ずっとガキが「ユーカイ!ユーカイ!」って囃してるからもう気が遠くなるかと思った。そのまま署に連行。アリバイを証明してくれる人もいなかったし、暗くなるまで事情徴収された。結局ガキが白状したみたいで、一応謝られたけどクタクタだったから生返事で受け取ってソッコー帰宅。でもそっからがまた大変だった。
俺が誘拐犯だとか小さい子にイタズラしただとか昨日のことに尾ひれが着きまくって近所に拡散されてた。おかげで近所中に白い目で見られて泣きたくなった。俺は元々そこの住民じゃなかったこともあって、誤解も解けないし引っ越しを余儀なくされてしまった。もう人助けなんてしないと誓ったし、あのクソガキは遊びだったのかもしれないけどそれで1人の人生が変わったし、なにより急だった引っ越しの明細を見るのが一番怖かったね。
放置子の悪知恵は凄いからアリエールでしょ…ご愁傷様です。
主、かわいそすぎる…