ライターの火を怖がる広島の幽霊
投稿者:茉子 (5)
短編
2021/12/27
00:03
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昔広島出身の彼氏と、広島市内のホテルに旅行で泊まったときのことです。
その日は観光で一日中歩き回っていたので、夕食をとって早々に部屋で眠ることにしました。
夜中の1時過ぎくらいだったでしょうか。急に右足がこむら返りのような状態になって目が覚めました。
でも、変なんです。痛いのに、声が出せない。しかも、起きたいのに瞼が開かず一気に冷や汗が出てきました。
痛みに耐えているとしばらくして、急にふっと軽くなった気がして楽に目が開いたのです。
足の痛みも消えていました。
ふと気がつくと、隣に腕を伸ばしてライターに火をつけている彼氏が立っていました。
「えっ?何?えっ?」と私が混乱していると、彼氏がこう教えてくれました。
「◯◯の右足に、子供が座っとったんよ。多分、原爆で死んだ子の幽霊じゃと思う。この辺、川が近いけん」
聞けば、広島では原爆が落ちた際にその熱さに耐えきれず川に飛び込んで死んでしまった人が多く居たそうで、市内のホテルなどにはよく幽霊の目撃情報が多いのだとか。
そして彼氏は霊感が強い家系らしく、小さい頃お父さんに「幽霊を見たら、ライターで火を灯しんさい。原爆で亡くなった幽霊は、火を怖がるけえ。」と教えられたそうです。
その後彼氏とは別れてしまいましたが、広島市内に行くたびにその話を思い出します。
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