予知と肝試しと悪寒の話
投稿者:赤壁二世 (13)
俺の知り合いにMという細マッチョのお洒落さんがいるんだが、ちょっと変わったところがある。
高一の一学期だったと思うが、Mが突然俺に話しかけてきて、その時はMとそんなに親しくなかったし、俺は人見知りな性格だったから困惑してた。
以下、○○は俺の事だと思って読んでほしい。
「○○君て松屋過ぎたところのコンビニの交差点通るよね?」
「う、うん、通るけど」
「じゃあ、帰り道交差点で信号渡るとき気を付けてね」
それだけ言うとMは席に着いた。
俺はあっけに取られて素直に頷いたが、その日はMの言葉の意味を考えているだけで授業が終わり、俺は問題の交差点の前までやって来た。
妙にMの忠告が怖くなった俺はコンビニで立ち読みして気を紛らす事にした。
立ち読みしていると、ガシャーンとけたたましい音が鳴り、顔を上げ外を見ると交差点のガードレールに車が一台突っ込んでひしゃげていた。
翌日、俺は学校に着くなり忙しなくMを見つけ問い質した。
「M君、昨日のあれってなに?」
あれって?と惚けたように疑問視するMに、俺は昨日の事故をかいつまんで話すと、「ああ」とMは大きく頷いた。
「たまたま夢で見たから何となく忠告しただけだよ。予知夢ってやつ?まあ、第六感みたいな?」
あっけらかんと答えるMの表情はお気楽なもので、俺は目を丸くしたあと怪訝な面持ちでMを見ていた。
以上がMとの出会いとMの不思議な予知能力の話だ。
で、高校3年になった俺が友達と地元の山中深くの渓谷にある陸橋へ肝試しに行こうとなった話に繋がる。
俺を含めたメンバーは、友達のAとB、Aの彼女のC子と友達のD子の計5人。
Aの姉貴が送迎をしてくれるそうで、行きは現場付近にある麓のガソリンスタンドまで送ってくれ、帰りはまた二時間後くらいに迎えに来てくれるらしい。
何でも、Aの姉貴はお化けの類いは大の苦手だそうだ。
教室で盛り上がっているとMが俺に話し掛けてきた。
「○○君、そこに行くなら橋の下には行かない方がいいよ」
この時、俺は高一のMの予知夢の一件を思い出して、どこか首もとを締め付けられたような感覚を陥り、冷や汗が滲んできた。
「Mも来るか?」
社交性の高いAが気さくに誘いをかけるが、Mは「遠慮するよ、幽霊とか苦手だし」とやんわりと断りを入れた。
メンバー四人が再び肝試しの打ち合わせに花を咲かせている後ろで、Mは俺に小声で耳打ちしてくる。
「子供に気を付けてね」
と、意味深な台詞を残して席に着く。
嫌なプレッシャーを感じたが、教師が入室して授業の開始となりMに詳しく聞くタイミングを逃した俺は、ただの電波男の戯言だと自分に言い聞かせた。
週末、肝試し決行当日、俺達5人はAの姉貴、以下A姉の運転で麓まで移動している道中で俺はMの事を話題に出した。
たまにそうゆう奴いてるよね!
ホモ系ではなく、預言者みたいなの。
アッー!