夜中に見た黒い男性の話

2年前の夏の夜のことです。
一人暮らしのわたしはベッドの上で寝ていました。
その頃は学校もアルバイトも忙しく、よく夜中に体が金縛りになっていました。

夜中にふと目が覚めて意識が朦朧としていると「あ、今から金縛りにあうな」となんとなく分かります。
ただ、その日はいつもみたいに目が覚めてからしばらくして金縛りにあうのではなく、すでに体が固まっていて動けない違和感から目が覚めました。

目を開くと目の前に真っ黒の男性がわたしに馬乗りになってジーッとこちらを見ていました。
ハッとして目を閉じて慌てて金縛りを解いたのですが、腕の金縛りを解く際に、5本ほどの手に抑えつけられているのが順番に手首側から一つずつ外れていくような感触がありました。
体の金縛りを解いて目を開けるとそこには誰もいませんでした。

2週間後。また金縛りにあった状態で目が覚めました。
すると今度は、お腹までかけてあった布団がゆっくり膨らんできて誰かがお腹側からこちらを見ていました。
わたしは映画「呪怨」を思い出し、自分のお腹側を見ることができないまま金縛りだけ解いて眠りました。

その3ヶ月後。占い好きな友達と霊媒師がやっている占いバーに行き、将来の自分を占ってもらうことにしました。
人気店ですが、偶然その日は暇なので世間話ついでに3ヶ月前に起こった出来事をざっくり説明し、これは夢だったんですかね？と聞いてみました。

すると、その霊媒師さんから「その上にいた男の人ってさ、黒かった？」と聞かれました。
肯定すると、「それは夢じゃない。霊だよ」と説明され、「浮遊霊で、取り憑いているわけではないが生き霊ではなく死んでいる人。
あなたに何か伝えたかったか、通りすがりにまたあなたのことがタイプだったかどっちかだね。」と言われ、「しつこいようだったら相談に来てね」と言われました。
その日以降はその幽霊は現れていません。