「父の友人」と名乗っていた人が実は…
投稿者:半田鏝 (6)
私の両親は、私が小学校2年生のときに離婚しました。
母に「お父さんとお母さんは別々に暮らすことになった」と切り出されたときのことは、今でも鮮明に覚えています。私は「いやだ、いやだ」と繰り返しながら泣きじゃくり、母も私を抱きしめながら静かに泣いていました。
私の父は、今考えれば、ずいぶんひどい男です。仕事を辞めてチャレンジした起業に失敗。それを立て直すこともできず、離婚当時は母にだけ働かせて、自分はろくに働いていないばかりか、借金まであったそうです。
暴言暴力こそ(少なくとも私が覚えている限りは)無かったものの、ギャンブル好きで、しかも外に女まで作っていました。離婚後、その女性を平然と私に会わせる程度には最低な父親でした。
それでも、子供だった当時の私にとっては、ただただ大好きな父親でした。
離婚後もしばらくは、月に1回程度父に会っていました。会う場所は、父が転がり込んだ父の彼女の家です。父にはお金も仕事もない、おまけに借金取りに追われているような体たらくだから、住み家というより「隠れ家」といっても良い家です。
当然、当時の私はそのあたりの状況は何ひとつ飲み込めていません。父に会えるし、父と一緒に生活している女性は優しいし、と特に抵抗なく状況を受け入れていました。
ところで、父には何人か友人がいました。両親の離婚前にも、何度か父を訪ねて我が家を訪れました。特によく覚えているのが、茶髪で眼鏡をかけた青年です。彼は物腰が柔らかく、父の友人の中でも特に頻繁に我が家を訪れていました。
その彼が、両親の離婚後にも我が家を訪れたことがあります。
父の友人は言いました。「ねえ、お父さんが今住んでいる場所知ってる?」
私は「知ってる」と答えました。
すると父の友人は嬉しそうに尋ねました。「本当?じゃあ…案内できる?」
私はもう、父の車に乗せられて、何度もその家に行っていたので、道案内には自信がありました。私は、うん、と答えました。
それから私は、父の友人の車の助手席に乗って、道案内をしました。父の家への道はやっぱりよく覚えていて、私たちは滞りなく父の家…とあるアパートの一部屋です…の前まで来ました。
「どの家?」「あれ」「へえ。どの部屋?」「あそこ。右のすみっこ」
私たちはそんなやりとりをしました。
私はてっきり、父の友人は車を降りて、父の家へと向かうと思いました。父に会いに来たに違いないと思ったからです。
しかし、父の友人は「分かった、ありがとう。じゃあ、帰ろうか」といって、車を再び発進させてしまいました。
私は、あれ、父に会いに行かないんだ、と思いながらも、大人がすることですから、そんなこともあるんだなぁと思いながら大人しく助手席に揺られ、そのまま帰宅しました。
それからしばらくして、父と連絡が取れなくなりました。何度かけても、父が電話に出なくなったのです。いいえ、電話自体繋がらなくなっていたかもしれません。その辺りの記憶はあいまいですが、父の元へとつながらない電話を何度も何度もかけながら、「約束したのに、約束したのに」と泣きじゃくったことだけは鮮烈に覚えています。
何の約束かは覚えていません。たぶん、何日おきに電話をするというような約束をしていたのでしょう。
結局、父とはそれっきり、二度と会えませんでした。
成長するにつれ、離婚というのがデリケートな問題だと認識するようになった私は、家で父についての話題を出すことを避けるようになりました。父のことは母にとっては嫌な思い出でしょうから、当然、母から口にすることもありません。
お互いに抵抗なく父のことを口にできるようになったのは、本当につい最近のことです。
ある日、母と私で買い物がてら、父に関する思い出話をちらほらと話していたとき、ふと父の友人とのドライブを思い出して、そのことを母に話しました。
すると母は絶句し、「お父さんの友達って、あの眼鏡かけた人?」と硬い声で尋ねてきました。
私は「え?うん、そうそう。あの人うちによく来てたよね」というと、母は衝撃的な一言を放ったのです。
「あの人、借金取りだよ」
その一言に、私は飛び上がらんばかりに驚きました。
しかし、もっと驚いていたのは母の方です。「車に乗せられたって、いつ?」「うわ~信じられない」「そんなことがあったの、知らなかった」としきりに恐々とした声をあげ、「そんな人についていっちゃだめだよ」と、もうすっかり大人になった私に言います。
父がどうなったか分からないのが怖い
報告者黙ってろー知らないって言えーって心の中で叫んじゃったよw
お父さんのその後を知りたくなっちゃう
今となってはどうでもいいことです
が一番怖いと思った
借金取りは一気にテンション上がったろうな。漫画みたいにスムーズに仕事片付いて。
親父ざまぁwwww報告者gj!
口止めしなかった父が悪いよ、うん。
大丈夫、タコ部屋で強制労働してるはず。
それよりも貴女に何もなかっただけでも良かったわ、お母さんもそう思っていたでしょうね。
“ヒトコワ”という意味について改めて色々考えさせられました。
これは報告者怖
子供の無邪気は透明な邪気だね
私すごい健気だなw子供だったからという理由だけかもしれんが
日本昔ばなしの「キジも鳴かずば撃たれまい」を思い出した
行動だけ見るとひどい父親だけど個人的に恨みがあった感じでもないし複雑だろうなあ
泥棒猫とは言え父親の彼女もおそらく巻き込まれただろうことを考えると少し気の毒だ
借金取りはだいたいはガキには優しい、らしい。体験談
子供に優しい借金取りは、本当にマジモンの上の方の人。電話で催促したり家に乗り込んでくる奴らは下品でクズな三下のヤンキーみたいな奴の仕事。上の方の人たちの方が、子供には罪はないって弁えてるし、人情があるよ。
父親が可哀そうにおもえてくるから不思議・・・・
ためはち
こわ
一時期、サラ金による借金取り立てが社会問題になりましたよね。
ちょうど、その頃にあったお話なのでしょう。
両親の離婚原因も、そのあたりにあったのかもしれませんね。
居所をわからないように離婚し、引っ越したのに、無邪気な我が子によって露呈してしまった悲劇ですが、当事者でもある我が子が、連絡が取れなくなり、会えなくて寂しいとか悲しいとか言っている割には、「今更どうでもいいコト。」とサラリと語っているあたり、この子にとっての父親は、所詮、その程度の存在だったとも言えるのかな。
いずれにせよ、いろんな闇が読み取れるリアル過ぎる怪談。
愛人もタコ部屋にぶちこまれろよ
面白かった。
凄いリアリティ
会社やめて起業してそこそこ上手くいっているけど
父親と同じ道を歩んでいたら(#°Д°)
お父さんどうなったんだろ。まさかとは思うが、死んじゃったんじゃ?その男に‼️
タヒンダンジャナイノ~?