実家の押し入れの謎の箱の不思議すぎる話
投稿者:aimee (1)
これは私が5才の時に実際に体験した怖い、というよりは不思議な話です。
私には2つ年上の兄がおり、子供のころ、夜寝るときは畳の部屋で、私と兄、父と母と並んで布団をしいて寝ていました。
布団に寝転がると丁度足もとに押し入れがあり、普段寝るとき以外は布団はその押し入れにしまっていました。押し入れのある畳の部屋には、寝るとき以外立ち入ることはほとんどありませんでした。
ある日の朝のことです。いつものように朝目が覚めると、父と母は既に起きており、別の部屋で朝の準備をしていました。畳の部屋には私と兄しかいません。
ほどなくして兄も起きたので、朝ごはんに呼ばれるまで二人で布団の上でだらだらと過ごしていました。
当時、私は兄とくだらないことでケンカをすることが多く、その日の朝も些細なことからケンカが始まりました。
最初はただの言い争いでしたが、徐々に激しくなり、兄と取っ組み合いのケンカに発展し始めた時のことです。
いきなり足元の押し入れのドアが開き始めたのです。
ドアがゆっくり限界まで開いていくと、中には今まで見たことのない大きな箱が置いてありました。
そもそも、普段は布団をしまいこんでいるため、箱を置くスペースなど押し入れにはないはずでした。
箱は人一人がうずくまって入れるくらいの古びたおそらく木製の箱で、上の部分は開いているのですが蓋はなく、代わりに大きな布が被されており、中に何かが入っているのか布が盛り上がっていました。
あまりに突然の出来事に、私は驚きのあまり兄に話しかけることもなく、固まったようにその箱を見ていました。兄も同じような状態だったと思います。
ほどなくして、布の下にある何かがもぞもぞと動き始め、布が少しずれ、私は中にあるモノが、人間のような形をしていることに気づきました。箱の中でもうずくまっていた何かが起き上がったようでした。完全に箱の中のモノが起き上がった時、布の隙間から手、目は見えませんでしたが鼻や口があり、長く黒い髪の毛が見えました。そして、
「…よ」「…だよ」
と何かをしきりに呟いています。兄も気づいたようでした。そして、耳を澄まして少しずつ近寄って行きました。普通だったらこんなことが起きたら怖いし近寄りたくないと思うのですが、この時不思議と私は、おそらく兄も、不思議な出来事に驚いてはいたものの、この箱の中のモノを怖いとは思わなかったのです。近くまで行くと、何を言っているのかが鮮明に聞こえ始めました。
「ケンカしたら、いけないよ」
男の人のような低い声でした。私と兄が「ごめんなさい」と呟くと押し入れはゆっくりと閉まっていきました。
その後、何度か押し入れを開いて確認しましたが、そこには何もありません。押し入れの中の何処かにしまわれているのではと、奥の方まで探してみたりもしましたが、あの箱は見つかりませんでした。その後兄と話してみると、やはり兄も怖いとは感じなかったとのこと。ただただ、不思議な体験をしたという感覚でした。
あの箱の中のモノの正体は謎のままでしたが、後日、母にこの話をしたところ母の口から驚くべきことを聞きました。
信じてもらえないのではと思いつつも、あの箱の話を母に打ち明けた時のこと。
私が「お兄ちゃんとケンカしてたら、押し入れが開いて押し入れの中に箱が…」と話始めると、母はとても驚いた顔をして、「ケンカしちゃダメって怒られた?」と私に聞いてきたので、私も「うん、なんで?」と驚いて答えると「でも怖くなかったでしょ」と何故か知っている風の母。
そして、お母さんも子供のころに会ったことあるよ、と話をしてくれました。お母さんが子供のころ、お母さんには弟がいるのですが、私と兄のように押し入れがある部屋で弟とケンカをしていたそうです。
すると押し入れが開き、箱の中の人に怒られたとのことでした。母も私と同様、怖くなかったといいます。母も私もお互いにとても驚き、そしてこれはどういうことなんだろうという話になりました。
結局はっきりしたことは分からなかったのですが、母が子供のころに住んでいた家は今住んでいる家とは別の家であったこと、しかし今この家には母と母方の祖父母も住んでいることから、家についてるものではなく、母の家系の守り神か守護霊のようなものなのではないか、という話でおさまりました。
今の時代、押し入れがある家も少なくなってきていまが、この先私が結婚して子供ができた時に、子供たちが押し入れの箱に出会うことがあるのだろうか、と実家の押し入れを見るたびに思い出されます。
話したらいけないよ