当たりすぎる占い師

これは私が大学生の頃、居酒屋でアルバイトをしていた際に店長から聞いた占い師の話です。

私は大学３年生の時点で単位を全て取り終えてしまい、アルバイトばかりしている時期がありました。
周りの友達は大学に通っていたり、就活を進める時期でもあるため、あまり遊ぶことはできません。自分は訳あって就活も必要がなかったため、暇を持て余していました。
暇な時間が増えたことで趣味がまったくないことに気づき、何か一人でも楽しめる趣味はないものかと色々なことに手を出して、辿り着いたのがタロット占いでした。

たまたま通販サイトでタロットカードの広告を見て、絵柄がとても可愛いと感じたのがきっかけだったかと思います。

さっそく気に入ったタロットを購入し、自分を占ったりしていることをアルバイト先で話していると、占い好きの店長も会話に加わってきて自身の体験談を話してくれました。

ある日、店長は占い好きの友人と一緒に、よく当たると評判のタロット占い師のお店へ向かったそうです。場所は東京都内の有名な繁華街。
当たると評判なだけあって、お店につくと既に2組ほどが並んで順番待ちをしていたため、店長と友人も最後尾に並んだそうです。
30分ほど待ち、自分たちの番になったので中に入ると、占い師の方が怪訝そうな顔をして

店長と友人は占うことを断られてしまったそうです。

しかしぶっきらぼうに追い返されたわけではなく、本当に申し訳なさそうに、
「ごめんなさいね、せっかく並んでくれたのにもう歳で目が疲れてしまって…」
と。
さらには、占ってあげられなくて本当に申し訳ないから、これで美味しいものでも食べてと言って1万円札を差し出してきたそうです。

さすがに受け取れないと何度も断ったそうすが、占い師の方もお詫びだからと引いてくれなかったため、仕方なく受け取って言われた通り2人で美味しいものを食べてその日は帰宅したそうです。

なんとその2日後、店長の友人は交通事故で亡くなったそうです。
ここからは店長の予想ですが、あの日占い師は友人に何かを見てしまったのではないかと言います。
見えていたとして、近々亡くなるなんて占い結果は言えませんし…
この話を聞いてから私は、占い師に占ってもらうのは絶対にやめようと思いました。