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ヒトコワ

アズールさんによるヒトコワにまつわる怖い話の投稿です

深夜のダブルデート
短編 2021/08/30 22:31 3,830view
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私が大学生の時の話です。

当時私は同じサークル内に気になる女性(A子ちゃん)がいて、なかなかデートに誘えずにいましたが、A子ちゃんとぼくの共通の友人カップルの2人(B男とC子ちゃん)が気を利かしてくれて、4人で夜景を見に行くことになりました。

その場所は地元でも有名な場所で、工業地帯を一望できる場所なのですが、峠を走るので事故なども多く、山奥には廃墟などもあり、心霊スポットとしても知られていました。

出発する時間になり、
B男の運転で、助手席にC子ちゃん、
運転席の後ろにA子ちゃん、助手席の後ろに私という席で車に乗り、山道を登って行きました。

途中心霊スポットと言われている廃墟などもあり、霊感など一切ない私ですが、なにやら重々しい雰囲気を感じていました。

社内ではそんな空気をなるべく考えないようにか、みんな少し無理をして明るく振る舞っていたように感じます。

山道を1時間ほど走り、目的地の夜景が見える場所まで到着しました。
その工業地帯の夜景は本当に綺麗で、A子ちゃんもすごく喜んでくれていました。

夜景を堪能した私たちは、車に乗り込み来た道を通って帰ることになりました。

ただ、行きの時とは違いみんな夜景を見た後だったので車内も盛り上がり、ドライブ自体も楽しめていました。

行きの時はすごく嫌な雰囲気を感じていた心霊スポットもなにも気にすることなく通りすぎて行ったのです。

この時は、本当に楽しいダブルデートで終わると思っていました。
ただ、この後に起きたことを私は一生忘れないでしょう。

山道を抜ける手前の道で、一人の男性が脇道に立っていました。

気分が良かったB男が車を止めて窓を開けて、その男性に話しかけたのです。

その男性は20代後半くらいの黒いジャージを着た、いたって普通の男性で、自転車が趣味で山道を来たが、自転車がパンクしてしまい、帰れなくなってしまったとの事だった。

可哀想だと同情したB男が車に乗るように言ったが、B男の後ろに座っているA子ちゃんの様子がおかしく、顔が真っ青になりながら、その男が車に乗ることを必死に嫌がっていました。

その様子に気付いたB男が男に断りを入れて、車は再度走り始めました。

私たちはA子ちゃんに男を乗せることを嫌がった理由を聞きました。

するとA子ちゃんが
「私の角度からしか見えなかったかもしれないけど、あの人、ずっと背中に隠しながら包丁を持っていた」
というのです。

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