3年に1回しか使わない教室の丸椅子
投稿者:3PM (3)
これは私が中学2年生の夏休みに体験した少し不思議な怖い話です。
当時、私は吹奏楽部に入っており、その日も朝から部活動に励んでいました。
吹奏楽部にはパート練習というものがあり、それぞれの楽器のパートごとに分かれて空き教室を借りて練習する時間があるのですが、その休憩中に3年生の女の先輩が、ある教室を見つめてこう言ったんです。
「あそこの教室って、3年間のうち1回しか使わないんだよね。」
その教室というのは机ごとに簡易的なヘッドフォンが備え付けられていて、簡単に言えばリスニング専用の教室のようでした。
普段は鍵がかけられていて、当時の私はまだ授業でも使ったことがなかったので、どんな教室かは知らなかったのですが
「なんで使わないか知りたい?」
先輩が意地悪そうに言ってきたので、私も怖いもの見たさで頷いてしまったんです。
「昔、あの教室で首吊って自殺した先生がいるんだって。」
それを聞いて、私とその場にいた後輩は小さく悲鳴をあげました。
構わず先輩は続けます。
「それでこの話には続きがあって、あの教室の椅子は回転する丸椅子なんだけど、ひとつだけ音が鳴る椅子があって、教室の横を通るとその椅子がきしむ音が聞こえるらしいよ。・・・それは死んだあともその椅子を使って繰り返し首を吊ってるからなんだって!」
先輩があまりにも興奮気味に話したせいもあって、後輩たちが本気で怖がり始めたので、私もますます怖くなり、この話はやめようとなりました。
が、実は私は根っからの怖い話好きなんです。
心霊系の番組は必ず観るし、怖い話も怖いけどもっと聞きたい!と、興味のほうが勝ってしまって・・・。
ただ、あの時ほど自分の好奇心を後悔したことはありません。
その話を聞いた昼休み、どうしても私はその話が本当なのか確かめたくて色々と方法を考えました。
他の先輩に聞いても知らないと言うので、やっぱり作り話かと思う気持ちが半分、鍵を借りてきて入ってみようか・・・でもやっぱり怖いという気持ちが半分。
結果、私のように怖いけどちょっと興味があるという吹奏楽部の幼馴染3人と、後輩2人、そしてこの話を話した張本人の先輩とで、例の教室の前まで行って様子を見ようとなりました。
なにせ女子しかいなかったので、そこまで積極的なことはできなかったのです。先輩だけは楽しそうでしたが、その時はまだ、怖いのが平気なんだなぁと思う程度でした。
恐る恐るその教室の前まで来ました。
鍵はかかっていますが、ドアに手をかけると本当に少しだけ、一部の中の様子が見えます。
きれいに整頓されているただの教室でした。
「何もないね。」
「あったら怖いですよ・・・。」
なんて言いあいながら、私がふと
「ちょっと静かにしてドアに耳つけてみようか?」
そう言うと、皆えぇ~!という表情を浮かべながらそろそろと聞き耳をたてはじめました。
蝉の鳴く声がうるさいなと思いながらも、1分ほどでしょうか、目配せしながら全員じっと中の様子に集中していましたが、何も聞こえず。
「やっぱり聞こえないですよね~」と先輩と目を合わせて、全員がほっとしながら顔を離そうとしたとき。
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