「水」にまつわる怖い話
投稿者:半田鏝 (6)
「水」に怖い話はつきものですよね。私も水にまつわるちょっとした怖い話があります。
あれは小学生時代の夏休みでした。
泳ぐのが好きだった私は、夏になると必ず海に行きました。海水浴と言うよりは、広いスペースで思いっきり泳ぐためです。
海には浜辺でパラソルを広げてのんびりする人、波に身を任せて浮き輪でぷかぷか浮かぶ人、様々いましたが、私はスイミングスクールの格好そのまんまで、ゴーグルをつけて疲れ切るまでひたすら泳ぎました。私にとってはそれが楽しかったんです。
しかし、その日は夏休みということもあり、海はかなり混んでいました。海は広いとはいえ、事故防止のために泳げるスペースはきちんと区切られていましたし、思いっきり泳げそうにもなく、私は珍しくも浮き輪をつけてぷかぷかと波を漂っていました。けれど、どうしても私の中の少年がスリルを求めてしまうため、遊泳可能スペースのギリギリに浮き輪を寄せ、水底が自分の足のはるか下にある状態を楽しんでいました。
次の瞬間、足に何か触るものがありました。海に捨てられたビニール袋でも触ったかな、と思いましたが、それにしては固いような感触がします。浮き輪を持ったままその場に顔を沈め、足元を確認しましたが、何もありませんでした。
なんかやだな、と思いながらバタ足をし、移動していると、また足に何かが触りました。今度はそれが何に似ているかがハッキリと分かりました。人間の手です。何本かの指が、私の膝からふくらはぎをぬらっと撫でつけるような感触がしたのです。
私はまた顔を沈め、足元を確認しましたが、水中からイタズラをしている人影はありませんでした。顔を上げて周囲を見ても、やっぱりそれらしい人影はありません。
誰もいないのに、誰かの手が私の足を触った…?
それに、人の指にしてはぬるぬるとしていた。もしかして…
当時能天気な子供だったとはいえ、さすがに気味が悪くなった私は、その日は早々に海から上がりました。
こうして文字にしてみるとあまり怖い話ではないかもしれませんが、正体不明のその手を思い出すと今でもヒヤっとします。
この時以降、海で泳ぐのはなんとなく避けています。
魚じゃ?浜名湖で遠泳してると当たってくるけど。
タコとかワカメやろ?