シキホールの黒魔術師(校正済)
投稿者:たかぴろん (4)
これは僕がフィリピンに住んでいたとき、
当時付き合っていた彼女から聞いた話です。
彼女の祖父はフィッシュポンドを持っていました。
フィッシュポンドとは、いわゆる養魚場のことです。
土を盛った仕切りがあり、見た目は田んぼに似ていますが、海水をとりこんでいるため海の影響を大きく受けます。
満潮のときは深くなり、干潮のときは浅くなります。
フィッシュポンドを持つ人は例外なく金持ちでいい暮らしをしています。
彼女の祖父もそうでした。
彼女の祖父は「パーボ」という名前でした。
パーボは広大なフィッシュポンドを所有しました。
正確にはその養魚場は、パーボと、もう1人ビボという男との共同経営だったんですが、このビボという男が金もないくせに祖父の同情を買って経営権を獲得した、いけ好かない男だったそうです
鼻がやたら高くて目が出目金のように飛び出している。友達はパーボを除いていなかったそうです。友人も多く誰からも好かれていたパーボとは正反対です。
パーボとビボは最初のうち、何の問題もなくフィッシュポンドを運営していました。
魚やカニ、エビなどを育てて売るんですが、とにかく大きな養魚場だから、それだけでかなりのお金になります。
金を得た2人はやがて大きな家と家族を得て、何不自由ない暮らしを送りました。
話は変わりますが、シキホール島の言い伝えはご存じでしょうか?
人々曰く、シキホールには黒魔術師がたくさん住んでいるそうです。
近海の島に住む人たちは、どうしても解決できない問題に直面したとき、その島に向けて船を出すんだそうです。
そして黒魔術師に願い事をし、その成就と引き換えに対価を支払うんです。
その対価は金ではなく……いや、これはまだ言わないでおきましょう。話を戻します。
パーボは家族とともに質素で静かな生活を送りました。
金はたくさんありましたが、贅沢は求めませんでした。それは彼が、庶民的な暮らしに充分満足していたからです。
反対に強欲なビボは贅沢を極め、快楽を貪り、悪徳にも手を染めました。それでも、なお満足しない彼は、さらなる刺激を求めます。
しかし、花火が刺激だとすると火種は金。火種がなければ花火を打ち上げることはできません。
そこでビボはあることを思いつきます。
フィッシュポンドの所有権。それさえあれば、利益も折半じゃなく、丸ごと自分のものにできる……そう企んだ彼は、船に乗りシキホール島へ向かいました。
「アイツは1人でシキホールへ行って、1人で帰ってきた。彼が黒魔術師に何を願ったのかは分からない。でも、おじいちゃんに異変が起きたのは、アイツがシキホールから戻ってきてすぐのことだったわ」
これは彼女の言葉です。その言葉を残して、彼女もまた、僕の元を去っていきました。
彼女の言葉通り、パーボに異変が起きはじめたのは、ビボがシキホールから帰ってきた頃のことでした。
パーボは1日に数回、うまく呼吸ができなくなったのです。
彼は「まるで溺れるみたいに、息ができなくなるんだ」と医者に説明しましたが、医者が彼の体に異常を認めることはありませんでした。
「至って健康ですよ、パーボさん。呼吸器系にも消化系にもおかしな部分は見られません。もしかしたら精神的なものかもしれませんね」
べしゃりがきもいねんな
べしゃり?
校正中…
怖い
真似できるようなこと書いてて欲しい
救いがない…