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ヒトコワ

優治さんによるヒトコワにまつわる怖い話の投稿です

ろくろ首の作り方(削除動画)
短編 2026/09/30 18:15 57view

ずっと探している削除動画がある。2016年あたりにYouTubeで公開されていた「ろくろ首の作り方」という動画だ。
当時妖○ウォッチが好きだった私は、よく父にパソコンを借りて日本の妖怪についての動画を漁っていたのだが、一面真っ黒のサムネイルにただ「ろくろ首の作り方」と題された一本の動画があった。
私がこの動画を思い出したのはつい最近のことである。大学の友人に「スナッフフィルム」という存在を教えられたからだ。
それは、娯楽目的に殺人の様子をビデオで撮影した悪趣味なものらしい。
ひょっとすると、「ろくろ首の作り方」はそれに該当するのかもしれない……と私は思うのだ。
ほとんどが作り物だよ、と友人は笑い飛ばしていたが「ろくろ首の作り方」は私にはどうしてもそうだと思えなかった。
しかし、当該動画は投稿主によってか、YouTube運営によってか削除されている。
そのため、私が見た動画の内容をできるかぎり思いだして以下に書く。

一面黒いサムネ「ろくろ首の作り方」
(タイトルは日本語だったが、動画中の音声はおそらくフランス語)

(画面に20代くらいの男性が現れる。ウィリアム・モリスの『いちご泥棒』の壁紙を背景に、彼はフランス語でろくろ首について説明している)
男性は陶芸でろくろをまわす仕草をする。この「ろくろ」が妖怪の長い首をあらわすものだと、たぶん説明している。

(場面が切り替わる。どこか定点カメラのような構図)
男性がブロンド女性の髪を染めている。手袋をした男性が、椅子に座らせた女性の髪にカラー剤をなじませている。
ガールフレンドだろうか? 女性は歯を見せて笑い、友好的に男性と何か話している。

(画面が切り替わる)
ふたたび男性が『いちご泥棒』模様の壁の前に戻ってくる。冒頭のときより表情が明るい。意気揚々と口笛を吹く。
男性「さて、念願のろくろ首を作っていこうじゃないか」

男性はおもむろに本を視聴者へ見せる。手擦れした表紙には「l’anatomie(解剖学)」と読める。彼はその表紙を軽くたたき、「僕の助手。頼りにしてるよ」とおどけてキスする。

画面が下方へパンする。ベッドで仰向けに寝かせられたさきほどの女性。髪は黒く、安っぽい着物を着せられている。女性の目は伏せられ、両頬が青ざめている(おそらく息をしていない)。

男性の手が女性の首を這う。「ここ」と彼は素肌を指さし、両の親指を重ねて力をこめる。低音質ながら、ゴキ、という骨の砕ける音が響いた。
その後、彼は5回ほどそれを繰り返す。表情はあくまで、治療に集中するツボ押し師のようだ。

(画面が切り替わる。芝生にオリーブの木々、鳥の鳴き声。男性の庭だろうか)
芝生の真ん中に、大きな壺が置かれている。口が広いから甕というほうが正しいのかもしれない。
そこへ、女性を横抱きした男性が歩いてくる。女性の足を体育座りになるように折り曲げ、彼女を甕の中におさめる。

「ああ」と男性が何かを思い出したように声を上げ、画面に近づいてくる。設定をいじっているようだ。画面がズームされ、「よく見ろよ:)」と編集字幕が挿入される。

男性の手が甕の中をまさぐり、女性の髪をつかんで一気に引き上げる。
すると、女性の首がぞろりと長く伸びあがった。皮膚はつながったまま、脊髄をいじって変形させた女性の首を彼は楽しげに揺らした。
しかし、負けた皮膚が裂けて、女性の首から血が噴き出す。
そこで男性がこまったように笑い、動画が終了する。

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