ここからは、もう一人の当事者――山下さんから聞いた話になる。
時系列としては、一話目の終盤。
山下さんが清水さんへ電話を掛ける少し前まで遡る。
山下さんが社会人になって間もない頃の話だ。
就職した会社では、新人一人に対して先輩社員が一人付き、仕事を教える制度があった。
山下さんの担当になったのは、四つ年上の男性だった。
以後、先輩さんと呼ばせてもらう。
先輩さんはとても面倒見が良く、人当たりも柔らかかった。
仕事の教え方も上手で、新人だった山下さんにとって頼れる存在だったという。
さらに偶然にも二人には共通の趣味があった。
釣りだ。
休憩時間が重なれば釣りの話をした。
仕事が落ち着いている日は新しく買った道具の話をした。
おすすめの釣り場の話をした。
そんなやり取りを繰り返すうちに、二人は休日にも一緒に釣りへ行くようになった。
自然と距離は縮まっていった。
やがて山下さんは、先輩さんの家へ遊びに行くことも増えていった。
その家で紹介されたのが、同棲していた恋人だった。
名前はヨウコさん。
初めて会った時の印象を山下さんはこう話していた。
「綺麗な人だったんですけど、それ以上に面白い人だったんですよ」
冗談ばかり言う。
よく笑う。
先輩さんをからかう。
そして先輩さんが困ったように笑う。
「やめろって、恥ずかしいから」
そんな二人のやり取りを見ているだけで、仲の良さが伝わってきたという。
誰が見てもお似合いのカップルだった。
だからこそ。
その訃報はあまりにも突然だった。

























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