みなさんの住んでいる地域には、町内放送ってありましたか?
田舎やちいさな町特有の文化なのでしょうか。
私が大人になって都市部の方に引っ越してからは、聞かなくなりました。
なので町内放送をそもそも知らない人もいることでしょう。
イメージしにくい人のために説明すると、朝と夕方の決まった時間に、町内のスピーカーから大きな音で放送が流れます。
内容は町からのお知らせや、その日開いている当番医のお知らせなどです。
田舎って感じですよね。
夕方には有名な童謡「夕焼け小焼け」が流れ、子どもたちの帰宅を促したりします。
私の実家はちいさな離島で、私が住んでいる町にも朝晩と町内放送が流れていました。
とりわけうちの家には、その放送を受信するラジオスピーカーが設置されていました。
町内に設置されたスピーカーから音が聞こえにくい家には、このように町からの配慮がありました。
しかし、このスピーカーは放送の始まりと終わりの時に大きなノイズを発するため、私はその音が苦手でした。
放送は毎回、町の担当のおじいさんが淡々と抑揚のない声でしゃべり、何を言っているか聞き取れない日もあって、耳障りで、むしろ放送そのものが苦手だった記憶があります。
それでも毎日、毎朝、毎晩、町内放送は私の家に鳴り続けていました。
私はその町内放送について、どうしても忘れられない思い出があります。
小学校三年生の夏、たまたま祖母が私の家に遊びに来ていました。
晩御飯を終え、みんなでお茶を飲みながら談笑していた時、突然町内放送のスピーカーからノイズが。
夜九時だというのに、それは始まりました。
『〇〇町警察から、お知らせいたします。
本日、午後、8時ごろ、
○○沖にて、水死体が、発見されました。
身元の確認を、急いでおります。
繰り返します……』
「ああ、どざえもんじゃ」と、大人たちはみんなよくあることとして流し、再び談笑を続けました。
先述した通り、私の実家は離島です。水死体があがること自体、そんなに珍しくもなかったのでしょう。
しかし私だけは放送の意味がわからず、母に訪ねました。
「ねえ、これどういう意味なん?」
「海で死体があがったんだってさ」
幼かった私は『どざえもん』という言葉の意味不明さもあいまって、大変気味が悪く思ったのを覚えています。
しかし、もっと気味が悪かったのはその夜でした。
私は祖母が家に泊まっていってくれるのが嬉しく、祖母と一緒にリビングで布団を敷いて寝ることにしました。
リビングは例のスピーカーがある部屋です。
すっかり寝入っている祖母の横で、私はもぞもぞしなながらいつまでも寝つけませんでした。



























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