いつもと環境が違っているのもあります。しかし一番は、先ほど聞いた不穏な町内放送のせいです。
『どざえもん』という言葉の響きが不気味で、さらにそれが水死体を指す言葉だということが衝撃的で、頭の中で繰り返すたびに背筋が寒くなり、祖母の手を握っていました。
ようやく寝つけそうになってきたころ、浅い眠りをかき分けるようにして、突然あの音が聞こえました。町内放送を受信した時のノイズです。
時間は完全に真夜中です。こんな時間に放送があるなんて、よほどの緊急事態でない限りはありえません。
なにをお知らせするんだろう?
私は祖母の手をさらに握りしめながら待ちました。
ザザ……、ざぱん、ザザ……、ごぽぽ……
聞こえてきたのはノイズにくわえて、どうやら波の音のようでした。時々水の中に潜った時のようなくぐもった音、あぶくのような音も聞こえます。
なにこれ?
いつまでたっても人が喋りはじめる気配もないまま、一分ほどでまた大きなノイズが鳴り、放送は終わりました。
そこから怖さのあまり祖母にしがみつき、祖母は寝ぼけた声で「どしたんね?」と言いながら私を抱きしめてくれました。その安心感のまま眠ってしまい、朝になりました。
翌朝、「ねえ、昨日の夜変な放送あったよ」と大人たちに報告しましたが、「まあたまに変な電波拾うことくらいあるわいね」と流され、相手にしてもらえませんでした。
あの放送はなんだったのでしょうか。
私は現在、都市部からは少し離れ、ちいさな町に新居を購入しました。
この町では毎日当たり前のように町内放送が鳴ります。
時々、行方不明者のお知らせなんかも流れてきます。
そういう不穏な町内放送が、なんだか今でも怖いです。

























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