ある初老の女性は語る。
私はしがないメイドでございます。
ある名家にお仕えしているのですがとある事情によりその一族は滅亡の一途を辿っております。
20年程前に強盗目的で忍び込んだ男に奥様とまだ赤ん坊だった長男が殺されてしまうという事件が起きました。
当然、男は捕まりほんの数年前に死刑が執行されました。
そこからというもの旦那様のいとこが事故に遭われて亡くなったりと悪いことが続けて起こるようになりました。
きっとあの男の祟りだ。そう思いました。
妻と我が子を奪っておきながら祟りに来るなどと旦那様は激怒しましたがこれ以上祟りが起きないように慰霊碑を建てそれから毎年儀式を執り行っているのです。
実は旦那様の一族は代々そういった儀式を行う一族でしてその力でここまで家を大きくしてきたようです。
しかしながら旦那様も年を取られて力が衰えている様子で跡取りもおらずきっとこのまま少しずつ祟りによって滅びていく運命なのでしょう。
あぁ、なんて可哀想な旦那様なのでしょうか。
だから私と結婚すればよかったのに!
私との間に子供を授かればこんなことにはならなかったのに!
そのために奥様と坊ちゃまを強盗に入った男の仕業に見せかけて殺したのに!
こんなにも旦那様を愛しているというのに!
女性の慟哭は今も響く。
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