とある日の昼過ぎ、会社から新橋駅を目指して歩いていました。まっすぐ行けば新橋駅まで10分程で着く迷いようのない道です。
ふと向かい側から男性が辺りを見回しながら歩いて来るのが目に入りました。
このエリアなら何処にでもいる、ブカブカの古めの背広を着た小柄で痩せ型の中年男性です。
通りには他にも人はちらほらおり、その中の1人だとして特に気にも留めていませんでしたが、彼がすれ違いざまに私の顔を見ると「すみません」と声をかけて来ました。
そして
「あなた、さっき新橋駅で私に⚪︎×▲(聞き取れない)た人?」
と尋ねて来るのです。
私は無言で首を横に振りました。
男性は一瞬納得いかなそうにしましたが、すぐに失礼という小さなジェスチャーをすると、また何かを探すように去って行きました。
男性はまっすぐな道の新橋駅の方面から来ており、私は明らかにこれから新橋駅に向かう方向から歩いて来ているので、まず違うと分かるはずですが…
よく見ると手ぶらだった。
聞き取れなかった部分は、わざわざ該当者をこの広い都心エリアで探し出さねばならない内容だったのか。
そもそも先程会った人の顔を覚えていないのか
…などなど疑問が多いのですが、何となく生返事をせずに否定しておいて良かったと思いました。
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