私が高校3年生の時に起きた話。
私は通っていた高校はいわゆる自称進学校というところで膨大な課題、連日の補習・模試に追われていた。
そのくせイベントごとは「学校全体で全力で盛り上がろう!」ってスタンスで文化祭では、クラスTシャツのデザインだとか、応援合戦の振り付けだとか、とにかく全員参加が暗黙の了解。もちろん、それに手を抜く人間は許されない空気が漂っていた。
もちろん体育祭も例外ではなかった。
イベントリーダー(応援団みたいなやつ)っていうものを各クラスで男女2名ずつ出さなければいけなくって、イベントリーダーになると放課後の時間や休日も練習や準備に費やさなきゃいけない。
ただ応援の練習をするだけじゃなくてダンスとか声出しとか衣装(イベントリーダーのみ、特別な衣装がきることができる)とかを自分たちで作らなくちゃいけないからそういう「THE青春イベント」を楽しみたい人じゃなければかなりハードルが高い役割だったと思う。
そう、まさに“青春を消費する覚悟”がないと務まらないポジション。
1,2年生だったら必ず「やりたい!」っていう人が出てくるんだけど高校三年生にもなると「やっぱり受験が大事だから応援リーダーにはなりたくない。ほかの人がやって欲しい。」っていう人ばかりでなかなか決まらない。
私のクラスも例外ではなかった。
そんな中でA君が「俺、イベントリーダーやるよ。」と立候補。
みんな一瞬、教室の空気が止まった。
みんな「え?」「マジで?」って顔をしてた。
でもみんな貧乏くじを引いてくれてありがとうって感じで拍手。
その時はそれ以上何も決まらずそれでおしまいだった。
問題はそのあとで、もちろんその日は学年中が「〇組、イベントリーダー誰になった?」っていう話題で持ちきりだった。
体育館の隅っこで部活の先輩に会っても、廊下で知らない後輩にすれ違っても、開口一番に言われるのは決まってた。
「え、A君が立候補したの!? 意外すぎ!」「あのA君だよね?ウソでしょ?」
うちのクラスは一躍“注目の的”になった。まるで芸能人でも出たみたいに。
そこから毎日、ひそひそ声彼の悪口を聞くようになった。
「〇組、イベントリーダーAらしいよ。」「え~~。あの空気読めないヤツ?」
「お前、イベントリーダーやるの?」「うーん、でもAがいるしな~。」
その声は、次第に私の耳にも刺さるようになってきた。
けれど、A君は何ひとつ気にしていないように見えた。
たしかにA君は空気が読めない。平気で知ったかぶりをするし、授業とかも体調不良とか嘘ついて休むし、的外れな会話を急にぶっこんでくる。
でもそこまで悪口を言われてるのはさすがに言い過ぎだと思ったしそれを聞くたびに他人事ながらも心が痛んだ。
時が流れて、イベントリーダーが全員決まり、本格的な活動が始まった。(私はイベントリーダーにはならなかった。)
ここからはイベントリーダーだった友人の話。
そこでもA君の奇行が目立ったらしい。
・ほかの人が提案したダンスの曲をことごとく否定してくる。
・ミスを指摘しても「俺、こういうの苦手だから」と言って直す姿勢を見せない。
・意味不明な動きの振付けを押しつける。
・準備を手伝う人たちの作業をじっと見つめては、「あ、それ違う」「そこ、もっと丁寧にして」などと妙に細かく干渉してくる

























※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。