中古のフィギュアを買った話
投稿者:しゅんや (1)
まだフリマアプリがそこまで普及していなかった頃、アニメグッズ専門のマイナーなフリマアプリがありました。(オタ◯ートではありません)
そこで、曰く付きの商品を買ってしまったことがあります。
その当時僕はとあるアニメにハマっていたのですが、そのアニメは放送されていたのがかなり前な上にマイナーな作品で、グッズなんて無いに等しいレベルでした。
そんな中でそのフリマアプリを見つけ、なんとなくアニメのタイトルで検索をかけたらなんとヒロインのフィギュアを出品している人がいたのです。
価格も安いし未開封だしということで、速攻で購入しました。
フィギュアは購入から3日ほどで届きました。
箱は少々日焼けしているものの汚れはなく綺麗だし、梱包も丁寧でした。
ただ一点、気になったことがあります。
出品者の手紙が同梱されていたのですが、そこに
「これは私の兄が大切にしていたものです。どうか、兄の代わりに大切にしてあげてください」
と書かれていたのです。
ふと、遺品整理という単語が頭を過りました。
しかし、仮にそうだとしてもこのフィギュアに何かあるわけではないし、そんなことをいちいち気にしていたら中古品なんて手を出せません。
僕は気にせずそのフィギュアを開封し、部屋に飾りました。
その夜、珍しく高熱を出した僕は変な夢を見ました。
目の前に知らない男の人がいる夢なのですが、その男の人が天井にロープを吊るそうとしているのです。
僕は嫌な予感がして「そんなことはやめろ」と言うのですが、彼に僕の声は聞こえていないようです。
やがて天井から、先が輪っかの形になったロープが垂れ下がり、パジャマ姿の男性がその輪っかに首を通しました。
そこで目を覚ましました。
全身から汗が流れ、体の震えが止まりませんでした。
ここで何かを察すればよかったのですが、朝には熱も下がっていたので特に何もせずに次の夜も眠りにつきました。
するとまた深夜に熱が上がり、変な夢を見たのです。
それは昨日の夢とほぼ同じ内容でしたが、ロープに首を通しているのが昨日の男性ではなく僕でした。そして虚ろな目をした僕が、僕の後ろを指さして言うのです。
「返せ!返せ!返せ!返せ!返せ!」
そこで目が覚めました。
夢の中で僕が指さしていた方向には、あのフィギュアがありました。
僕はフィギュアを出品者に返品しようと考えました。
しかし出品者のページに行くと『このユーザーは規約違反のためアカウントが停止されています』と表示されてしまい、連絡を取ることができなくなっていました。
幸いにも荷物に貼ってあった宛名シールが残っていましたが、その差出人住所に書かれた地名は全てデタラメの、存在しない地名でした。
こういう時に身近に霊能者でもいれば頼れたのかもしれませんが、残念ながらそのような知り合いはいません。
なので、曰く付きの品を引き取ってくれるところをネットで調べて片っ端から電話をかけました。
大抵は「え…フィギュア?(笑)」みたいな反応をされ、イタズラだと思われたのか相手にもされなかったのですが、とある県の小さな神社のみが「引き取ってもいい」と言ってくれたので、高速バスに乗り込んでその神社に向かいました。
かなり遠い場所だったので、昼間に出発して到着したのは夕方頃でした。
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