ヤバい友達と心霊スポットに行ってみた
投稿者:天禰 (3)
俺の友達にヤバい奴がいる。名前はK。普通に話している分にはただのいい奴なのだが、心霊系の話になると妙に真剣になる。人並みの興味だったら解るのだが…曰くKは若干陰陽道に精通しているらしく、簡単なお祓いや呪詛程度なら扱えると豪語しているのだ。
普通の人が怖がるような深夜の神社でも奴はずかずかと入っていく。何でも、「きちんと奉られてるし神様居るんだからこっちがなんかしねぇ限り悪い物なんてはいんねぇだろ。」とのこと。そうだけどそうじゃない。
幽霊に対する対処も手慣れていて「憑いたなら取ればいいしあまりにも危なければ触れなければいい。」とのこと。
まるで虫を扱う程度の感覚で生きている俗に言う「イってる側の人間」である。
曰く、Kからしてみれば本物の怖い話よりそこら辺に転がっている下手なフィクションの方が怖いと思って居るらしい。
さて、俺はそんな変人と1度心霊スポットに行ったことがある。あれは高校生の時だったか、他の友人(Y)含め3人で近所で有名な廃校跡地に行こうとなった。Kが乗り気だったのは以外だった。そいつの余裕の表情が少し不気味だった。
さて、件の廃校跡地であるが何でも、女の霊が見えるとのこと。よくある噂だなと思いつつも、俺も若干気になっていた。近くには墓地があり、そこに行ったことのある奴は変な光を見たとも言っていた。
心踊らせながら3人で集まって準備をしていると、雨が降ってきた。
「やっぱりね。」
Kだけそう言った。だがしかし、果たして今日は雨の降る予報だっただろうか?天気予報を見ていないので解らないが小雨だしこれなら行ける。
結局、3人でささっと行こうと言うことになった。
「行くなって言われている。」
と、若干Kは渋ったがそれでも何故か余裕の表情が変わることはなく付いてきていた。
さて、示し合わせた集合場所からその廃校跡地はすぐ近くである。10分としないうちにその場所にたどり着く。
今やグラウンドだけとなったその場所。だと言うのに不気味な空気が漂う。何より、ここまで来てなぜKは笑っているのか。それが不思議だった。だがそれもしばらくして解ることとなる。
「やっぱりあそこが一番不気味だよね。」
Yがラウンドの一番端、木々が垂れ暗くなっている場所を指差す。
「いや、ほんとそれなK行ってみろよ?」
冗談交じりにそういった。正直俺は『いやいや、あそこは本当にヤバい。』と言う反応を期待していたが、そいつはその期待を裏切った。
「解った。」
二つ返事でそいつが足を1歩踏み出した。こいつ正気か?とも思ったが、次の瞬間全てのなぞが解消された。1歩踏み出したその直後、丁度頭上で雷が鳴ったのだ。どこかに落ちたわけではないが、音はそのくらい大きかった。
そしてKは振り向き、余裕の笑みで言った。
「ほら、辞めろって言われてる。」
ああ、こいつは本当にヤバい奴だと認識させられると同時に、雷もなってきたので結局何もせず退散となった。
不思議と、それ以降雨も雷もおさまり快晴となったのだが、もう一度行く気にはなれなかった。
さて、余談だがKと話すとき「おつかれですね。」と言われることがあるが、果たしてどっちの意味なのだろう?正直、俺はあいつが少し怖い。
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