鳴 き 声
投稿者:ねこじろう (147)
靖子は寝不足気味だった。
※※※※※※※※※※
彼女が私鉄沿線沿いのアパートに越してきてようやく一週間が過ぎたのだが、その間あまりきちんと睡眠がとれたことがない。
というのは、たまに隣から奇妙な声が聞こえるからだ。
それは盛りのついたメス猫のような鳴き声。
※※※※※※※※※※
靖子は今年35になる独身の女性。
大学卒業後13年の間、都内にある大手広告会社の総合職として働いている。
以前は会社から1時間以上かかる賃貸マンションで暮らしていたのだが、去年の人事で課長職に昇格してからは仕事量は倍増し帰社時間が午後9時を過ぎることも増えだした。
そこで肉体的.•精神的心労を少しでも軽減できるならと、会社まで30分のところにあるアパートに引っ越したのだ。
そこは以前のところとは比べものにならないくらいに家賃は安いし部屋数も多い。
ただ4階建てのコンクリート造りの建物は古くてかなり老朽化が進んでいた。
靖子の部屋はその4階1番奥の角部屋である。
以前住んでいたマンションはペット飼育可だったから彼女はメスの三毛猫を飼っていた。
だからメス猫が発情時に発するあの独特な鳴き声についてはしばらく彼女も悩まされたこともあり、そのために止むを得ず愛猫を去勢する決断をしたのだ。
その猫も去年の冬、老衰で亡くなる。
12歳だった。
靖子がマンションを引っ越すことを決断出来たのは、そういった事情もある。
※※※※※※※※※※
─まったく、ここまで鳴くということは去勢してないのかな?
いやそもそもこのアパート、ペットの飼育は不可だったのでは?
寝室のベッドの中。
こわいでしゅ( ;∀;)
気味が悪かったです!
怖い((( ;゚Д゚)))