井戸
投稿者:けー (3)
これは私が母方の祖母から実際に聞いたお話です。
「深夜になると、山の中にぼろぼろに古びた井戸があるという話を聞いたことがあるかい?」
「その井戸には、かつて村に住んでいたとある一家の悲劇と非常に関係が深いと言われていてな。丑三つ時にその井戸の周りに立つと、亡霊たちが中からその家族の者の声で『助けてけれ…助けてけれ…』と繰り返し語りかけてくるそうな。」
当時、村の子供たちはこの話と全く同じ話を興奮気味に私のご先祖さまから聞いていて、とある一人の少年が好奇心からその井戸を見つけてみようと提案しました。
翌晩、少年たちは暗闇に包まれた山に向かい、古びた井戸を見つけました。
丑三つ時、井戸の周りに立つと夜の静けさがただならぬものに変わっていきました。しばらくすると、井戸から弱々しい声が聞こえてきました。
「助けてけれ…助けてけれ…」と。
少年たちは驚きながらも、その声に引き寄せられるように井戸を覗き込みました。すると、井戸の中から手が伸びてきて彼らを引きずり込もうとしました。
悲鳴を上げながら逃げる少年たちでしたが、一人の少年だけが井戸に引きずり込まれ、その後村の人々にはその少年の姿を見たという者は一人も現れませんでした。
以来、村人たちは山の中の古びた井戸を避けるようになり、深夜になるとその井戸から聞こえる悲痛な声を恐れて避けるようになりました。そしてこの話は村の伝承となり、誰もがその井戸に近づくことを忌み嫌うようになったと言います。
井戸あるあるですね。
井戸って良い話は無いですよね。