顔

携帯電話が普及してもう20年ぐらいですかね？
さまざまな機能も増えてなんでもこれ一つでできる様になっちゃいましたね。
いわゆるガラケー当時で革新的だったのが、自作着メロとカメラ機能。
私なんかは携帯で写真を撮ることを未だに写メするなんて使っちゃいます。
そんな携帯電話ですが、人々に普及して、使いこなして、このツールがなければならない存在の現在と、このツールで写メができる様になった昔。
変わらない事が結構あります。
そんなことを思ったお話を一つ。

私が高校生の頃です。iPhoneが普及する数年前なので、カメラの画質も良くなったガラケーを一人一台持ってた時でした。
私の通っていた高校は携帯電話禁止の所でして、私自身も持ち合わせていませんでしたし、特段必要にも感じていなかったんです。今から思うとあの当時は携帯を持っていなくてよかったと思います。
高校2年の夏にクラスメイトと東京にオープンキャンパスのため私の住んでいる地方から向かったんです。
元々人混みが嫌いな方なので東京駅ですでにグロッキー状態。すでに都会が嫌になりつつありました。

いくつかの駅を電車で乗り継いで、オープンキャンパスを楽しんで、都会の生活もいいななんて思いながら、夕方にはまだ少し早い時間ですが帰路に着いたんです。
テクテク駅に向かって歩いてる時、人混みが見えてきました。近くに赤く光る点滅も見えて、ちょっと近づくと救急車と警察の車両がいるのがわかりました。
どうやら車と歩行者だったのか、自転車だったのか？そこまでは覚えていませんが、接触事故だったみたいです。
タンカーで人らしきものが運ばれていく様もあったんだと思います。
うろ覚えなのは、それよりも他の事に気を取られていたからです。
周りの見物人のうち、特に歩道橋の上の人なんかがそうでしたが、携帯で写真を撮ってるんですよ。
カシャ！カシャ！って。
若い男性が多かった記憶があります。でもそれ以外にも女性やサラリーマン風の人もいた様な気がします。撮ってる人の性別も年齢も曖昧な記憶になるぐらい衝撃だったのが顔です。
撮ってる人の顔
薄く笑ってるんですよね
中にはそうじゃ無い人もいたかもしれないです。

ですが、夕方前の少し日が傾いてきたぐらいのまだまだ明るさの残る中、気味が悪いぐらいにおんなじ表情で笑ってるんです。
珍しいもの見た！なかなか体験できないもの見れたから友達に写メ送ろう！！ぐらいの感覚なんでしょうね
うわぁ…都会の人って自分に関係無い人の不幸を娯楽にできるんだなぁ。気持ち悪い
なんてちょっと思いつつ、帰りの新幹線の時間も押していたんで、いそいそと自分たちの住む世界に戻っていったんです。帰りの新幹線内ではもうその話はしたくなかったんで、努めて大学の話をして無理やり明るい話題に変えていたのを覚えています。

時間は少し経って、無事に東京でオープンキャンパスを見学した大学に落ち、仕方がなしに入った別の地方の大学で私はダラダラ楽しく大学生活をたのしんでいました。
強くも無いくせに酒を馬鹿みたいに飲んで、酔っ払って友人とそこそこ栄えているその地方の駅前で帰り道をだべりながら歩いている時、救急車と大破した2台の車と警察の車が見えました。
繁華街を過ぎた辺りで人混みもある中でその状況です。
人だかりができ、スマホで写真を撮ってる人もいる。
よくある光景なんですね。
酔っ払った私と友人もそのよくある光景の一部になりました。
当時買い替えたばかりのiPhone4sでカメラを起動して写真を撮ろうとした時、間違ってインカメラ、自分の顔を写したんです。
あの時見た顔と同じ表情が写ってました。