絶対に持って帰ってはいけない
投稿者:へぴょ太 (5)
私の地元は三大霊山で有名な恐山のふもとです。地元の人はあまり恐山に行きませんが、学校の行事などで恐山街道と呼ばれる道を行ったりすることがあります。そして私も行事で恐山の近くへ行ったのです。
私の母は霊感が強く、幼い頃から「石をもって帰ってはいけない」「道路わきで亡くなっている動物をみてもかわいそうと思ってはいけない」など、マナーとは別のしてはいけないことがいくつかありました。
当時はわかりませんでしたが、兄弟の中でも霊感が強かった私に特に厳しく言っていたようです。
耐久登山遠足で恐山街道を歩いていました。学校からスタートし、恐山のふもとまで行き、また学校へ戻るという内容でした。
もともと文化部で体力のない私は、次々と友人や他のクラスの人に抜かれて行きました。お弁当と水筒しか入っていないなずのリュックは、午後から一段と重く感じ、歩みはさらにゆっくりになっていました。
ゴールの時間に間に合わなそうな人たちを拾うバスに乗せられて、友達と一緒に学校に戻りました。
家に着きシャワーを浴びると、髪を乾かすこともなく寝てしまいました。
パタパタ歩きまわる音。赤ちゃんの泣き。誰かの話し声。いろんな音がして目が覚めました。部屋に誰かいるわけもなく、キッチンで母が夕飯の支度をしているだけでした。
「だれか赤ちゃん連れてきてた?」と母に聞きましたが、赤ちゃん連れどころか、誰もきていないと言われました。
先ほどの音が気になりましたが、凝り固まった肩のせいか、疲れていたからか、私はそれ以上何もききませんでした。
夜眠っているとまたいろんな音が聞こえてきました。歩き回る音、赤ちゃんの泣き声、誰かの話し声、硬いものをこすり合わせるような音。いろんな音がして眠れませんでした。
朝起きても前の日の疲れが取れないどころか、睡眠不足もありますます疲れていました。
「昨日のお弁当箱洗うから持ってきて」と母にいわれて、部屋に戻りました。
リュックを開けるとお弁当箱と水筒の他にこぶし位の石が入っていました。
私はそれを見た瞬間鳥肌が立ちました。なんとも言い難い気持ち悪さで、私はすぐに母を呼びました。なんだか触ってはいけないような、触れたくないような気がしたのです。
母も石に気持ち悪さを感じたようでした。
石には念が入りやすい。特にこの石は恐山の石でいろんな人の念が絡まりあって呪いみたいになってる。
母は私にそう説明してくれました。幼い頃から「石を持って帰ってはいけない」と言っていたのはこのためだったようです。
私は母とともにこの石を恐山まで返しにいきました。
不思議なことに家に戻る頃には、バキバキだった肩も疲れもウソのようになくなっていました。
石がなぜリュックにの中にあったのか、いたずらだったのか、何かの仕業だったのかはわかりません。
ひとつ確かなのは「石は持って帰ってはいけない」ということです。
「一段と重くなった」あたりから既にその石は入ってたんじゃね?
まさかその石の意思で?勝手に入ってきたのか
私も、小さい頃母に石を持ち帰ってはいけない、動物の死骸を可哀想と思ってはいけないと言われたものです。
今でも守っています。
青森県だけなのかもしれないですね。
昔の人がいういい伝えは、あながちいいかげんじゃないですね。