義弟
投稿者:ぴ (414)
母が離婚して、別の人と再婚しました。
私には義理の兄弟ができ、家族みんなで再出発しようと意気込んでいたのです。
私と義兄は思春期まっさかりの中学生でした。
一緒に暮らすのはすごく気まずくて人見知りがある私はしばらくは落ち着かない日々を過ごしました。
義理の父はすごく優しい人で兄は寡黙な人でした。
でも私はなかなか義理の父と兄に慣れることができず、ただ一人小学生の弟とだけはすぐに仲良くなれました。
義弟はすごく可愛くて、私が何かをするたびに興味を持って寄ってきてくれました。
お菓子づくりをしていると、「一緒にやりたい」とせがんできたり、縄跳びで運動していると「僕も」と隣で縄跳びをし始めるのです。
もうその懐っこさが可愛くて可愛くて、私は義弟とだけはすぐに打ち解けてしまいました。
まだ義兄とは距離があり、あまり話すことはできなかったけど、義弟はすごく近く感じられ、本当の弟みたいだと思いました。
そんなときに、みんなで旅行に行こうということになり、岡山に2泊3日の旅行に出かけたのです。
行ったことがない土地を巡り、私たちがもっと打ち解けられるようにと母たちが用意した旅行でした。
私は楽しくて仕方なかったです。その間もずっと義弟は私についてきてくれて構い倒してあげました。
義兄と違って私を完全に姉だと思ってくれているのも諸所感じられたし、嬉しくなりました。けれどこんなに仲良くなったのに、母は少し私に辛辣でした。義兄にもっと話しかけろと言うのです。
だから私は言ったのです。「弟のほうが話しやすいんだもん」と。
すると母が首を曲げました。
私が「弟と仲良くなったんだからいいでしょ?」というと母は変な顔をしていました。
そして私に言うのです。「弟って?」と。
不思議そうな顔をする母に、私は義弟の幹也とは仲がいいと自慢しました。
実際に旅行中の義弟は私とずっと一緒に行動していたのです。
母は「弟って誰のことを言っているの?」と言われ、私は眉を寄せました。
だって弟といえば弟しかいないのです。
そのことを話したけど、母はしばらく理解していないような顔でした。そ
こで私が義弟の話をすると、途中で話を遮られました。
そして母は「あんた誰の話してるの?」と聞いてきたのです。
それから私は母に再婚した義父の息子は義兄一人だという衝撃的な事実を知らされました。
義父たちにこの話をして、頭のおかしい嘘つき呼ばわりされたらどうしようと私は思いました。
でも「幹也」という名前を出すと、二人はかなり動揺して思っていたのとは違う反応をしていました。
どうやら母も知らなかったようですが、義父と前の奥さんの間には二人の息子がいたそうです。
義兄は次男で、その上の長男が幹也という名だと聞きました。
素敵な話しでした。
いい話!
素敵!