足音が聞こえる
投稿者:ミヒロファン (1)
短編
2023/03/29
00:18
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ある夜中2時頃、電話が鳴ったので、こんな夜中に何だろうと思って受話器を取ったら会社からでした。
私は、建設会社の設計担当で、納期が迫ると、数人で徹夜をする事も時々ありましたが、この日、私達設計担当者は誰も徹夜しておりませんでした。
電話の相手は営業課の40代の社員でした。「どうしたの?こんな夜中に。設計に何か不都合な点でもあったの?」と尋ねると「俺、今一人で見積書作っていたら、階段室で足音が聞こえたので。何か怖くて電話したの、寝ていた?」というので、
私じゃなくて自分の家にするように言うと「うちの家族は、この時間、皆寝ているから」というのです。
呆れて、翌日手伝うから、やめて帰るように言って電話を切りました。翌朝、出社してコーヒーを飲みながら、その話をすると、
徹夜した時足音を聞いたけど、気のせいだと思っていたとか、誰か来たのかと思ってドアを開けたけど、だれも居なかったという話をする人もいて、皆で顔を見合わせて勘違いではない事を確信したようです。
私は怖がりなので残業も一人でする事は有りませんし、夜食を買いに行くときも同行して絶対に一人になりませんが、3人で残業をしていた時、足音が聞こえたので、ひとりが見に行ったら誰も居なかったのです。
その後、地下の資材庫で自殺した人がいて、その時、お祓いをしましたがそれ以後はだれも徹夜をする人はおりませんし、残業しても8時頃までには退社するようになりました。
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