ついてくる
投稿者:くーちゃん (1)
家族で出かけた日のことです。初めて訪れたショッピングモールが楽しく、一人でフラーっとお店に入ってはフラーっと出てくるを繰り返し、自由にショッピングを堪能していました。
ひと通りお店を見終わった私は、必要なものを買うべく某100均ショップに入りました。その時、なぜか家族に「ここで買い物するから近くにいてね」と伝えていったのです。
どこに何があるかも分からずスマホ片手にウロウロ同じ所を行ったり来たりしていた時です。
スマホを見ている視線の先に「人」が目に入りました。帽子をかぶってフィッシングベストを着用、全体的にカーキ系のコーディネートで釣りに行くのかしら?といった服装でした。
でも、何か違和感。私はスマホも見ずにずっとその人に視線を向けていました。十字の通路が交差するところにお互いが近づくあいだ私はずっと見続け、そして、通路が交差するところにきてハッと気づきました。
「顔が見えない…」
うつむき加減のその顔は、お店の明るさに反したどす黒い黄土色。凹凸がある気はするがハッキリとした顔のパーツが見えてこない。
「気持ち悪い。近づかないほうがいい。」
とっさにそう思った私は、まっすぐに行く予定の通路を右に曲がり次の通路を左に曲がり。スマホを見るよりも、その人をどう避けるか、そこに意識が集中し買い物どころではありませんでした。
しかし、避けなければと意識しているにも関わらず、どこにいるのか気になる、見つけようと探してしまう自分もいました。
足を止め振り返ったとき、先ほど左に曲がった角までその人が来ていることに気づきました。ゾワッとした感覚と足が冷える感覚に襲われましたが、その姿を商品棚の間から見たとき、「まずい…」と確信したのです。
先ほどと一緒、顔が見えず、横顔からも顔のパーツは分からず、私の見間違いではなかったのだと、できる限りその人から離れることを考えました。
現状が理解できずにいた私は冷静になるため、今いる通路を前進し、左に曲がって左に曲がって真向いの通路に身を潜めたのですが、商品棚越しにその人が私と同じルートを進んでいるのが見えました。
ここまでくると気持ち悪いより恐怖が先立ちます。何よりその人は商品を見ている気配が全くなく、ずっとうつむき加減、ずっと同じ姿勢で進んでいるのです。
「つけられているかも…?」
恐怖を感じながらもどうしていいのか分からず、お店から離れることすら考えられずにいました。そんな時、我に返った自分がいて気づいたのです。
「足音が…していない…」
血の気が引きました。白くキレイな床でした。ヒールやスニーカーどんな履物でも必ず音がするはずです。
でも、その人が進んでいても何も聞こえない。歩いているのか分からない人を見ながら考え込んでいるうちに、また角を曲がってその人はやってきたのです。私は少し小走りで、また通路を左に曲がって左に曲がって同じ商品棚をグルグルしていました。
何か目的の商品がある人は同じところをグルグルしないでしょう。その人がどこかに行くことを願っていたその時、3度目の気づきが。
その人のいるゾーンはキャラクターコーナー。初めて視界に入った時もキャラクターコーナー。今も商品には目もくれずひたすらうつむき加減で進んでいる。
「間違いなく私は後をつけられている」
「残念ながら生きた人ではない」
と確信し、そこからは猛ダッシュで家族のもとに。
そこまでついてくるわけではなかったので良かったですが、同じことって起こりますよね。こんなことが実は3回目の体験。
気づくまでにいつも時間がかかり一人でパニックになっては怖かったと半泣きになっています。家族に入るお店を伝えていったのも何かを感じていたから…なんてことも考えられるのではと思っています。
当時はなぜ伝えたのかなど考えもしなかったですが、今思えばこれから起こることに何かしらのお守りセンサーが働いたのかなと思っています。
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