私は3年前、父を癌で亡くしました。突然の出来事で、母から亡くなったと電話で聞いたときは震えが止まらなかったのを今でも覚えています。今まで祖父や祖母などの親族が亡くなったことはありましたが、父が亡くなったときほど悲しいのは初めてでした。
亡くなる2週間ほど前から、医師から「もってあと1ヵ月です」と宣告されていましがた、1ヵ月もなかったと思います。実は、亡くなったときよりも余命宣告の話を聞いたときの方がショックでした。
私は6年前に結婚をして家を出ましたが、まだ実家に住んでいるとき、父とものすごい喧嘩をしたことがありました。叩いたり、ひどいこと言ってしまったりして、当時は感情的になってしまいましたが、今ではすごい後悔しています。
ここから不思議な話になりますが、夕方ごろ、突然お風呂から「ガチャン」と物音がしました。なんだろうと思いながら見に行くと、お風呂の壁にかけてあった物がすべて落ちていたんです。
偶然落ちたんだろうとは思いましたが、なんだか胸騒ぎがしたので母に電話をしてみることに。すると、母からの言われたことに言葉を失いました。
「お父さんね、さっき死んじゃった」
母はなぜか冷静でした。たぶん、実感がわかなかったのだと思います。
私は、亡くなったと知って心臓がバクバクしたり、頭の中はまっしろになったりで、とにかくショックでした。
少しして落ち着いて、ふと思ったんです。
(お父さん、さっき知らせに来てくれたのかな)
よくある虫の知らせっていうやつですよね。
葬儀が終わり、約1ヵ月経とうとしていました。次は49日をするために、いろいろ準備をしなければなりません。お坊さんと打ち合わせをしたり、お弁当の注文をしたり忙しかったのを今でも覚えています。
不思議なことはお風呂の物音だけで、父の霊をみたり夢に出てきたりはしませんでした。正直、私は死後の世界って本当にあるのかなと少し疑っていたんです。
そして49日に来る人の分のお弁当を注文するため、なにがいいかなと考えていました。
そしたら急に、耳元から声が…。
「頼んだよ」
え?と思い周りを見渡していましたが、誰もいませんでした。
しかも、今の声は明らか父の声…。久しぶりに声を聞きました。
そばにいてくれているんだと実感しました。
「頼んだよ」というのが、お弁当のことなのか、これから先のことを言っていたのかはわかりません。
しかし、ひとつ言えるのは、もう病気で苦しんでいないみたいで良かったと思っています。虫の知らせや、死後の世界とかは本当にあるのかもしれません。亡くなって何年経っても、見守ってくれているんだと私は思っています。
( / _ ; )イイハナシダナー