散歩道の白い女の人
投稿者:ぴ (414)
私はおじいちゃんっ子で、よくおじいちゃんについて回る子でした。
あの日もおじいちゃんがよく行く散歩道に私もついていくと制止を聞かず、一緒に歩いていたのです。
散歩道といいますが、ほぼ上り坂でした。
足場もあまりよくなくて、おじいちゃんはずっと私を心配して手を繋いでくれていました。
散歩道を歩いていたら、前から白いワンピースを着た女の人が歩いてきたのです。
私はまだ小さかったので、特に何も思わなかったのですが、あの時期にあの薄着で歩いているのは今考えるとおかしかったです。
その人が私とおじいちゃんのすぐ横を通るときに、ぺこっと会釈したのです。
長い髪の毛で顔はよく見えませんでした。私はあわててぺこっと返しました。
でもおじいちゃんはまったく何の反応もせず、私には無視したように見えました。
散歩から帰ってきて、その話をおばあちゃんにしました。
そしたら「あんな朝早くに人なんておったんか」と不思議な顔をされたのです。
おじいちゃんは困ったような顔で「いーや、人なんて誰もいなかった」と返して、私と言い合いになりました。
おじいちゃんはあの散歩道で、誰にも会わなかったらしいです。
あんなところにワンピースを着た女の人がいたら目立つと言っていました。
さすがにお年寄りといっても、隣を通った人に気づかないなんてありえないと思います。
今考えたらもしかしたらあの女性は私にしか見えない人だったのかもしれないと思い、ぶるっときます。
あの近くの道で、昔車ごと滑落して亡くなった女性がいたと聞きます。
もしかしたら私はあの日見てしまったのかもしれません。
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