山で見たモノ
投稿者:まろ (12)
これは私が田舎のばあちゃんから聞いた話。
私はこんな話は信じていない。いや、信じたくないというのが適切な言い草であろう。所々記憶は曖昧であるがその話を読んでくれている方に紹介したい。作り話と思って聞いてくれても構わない。真実は、ばあちゃんしか知らない。
ばあちゃんが私と同い年くらいの時、要するに二十歳ぐらいの時、上京する前に幼馴染みんなで山に遊びに行こうという話になった。普段から当たり前にばあちゃん達を見守っていた山だが、実際にばあちゃん達が山の中に入って遊んだかと言えば全くそのようなことはないらしい。だから上京する前にしばらく田舎を離れるので記念に思い出を作ろうと、山遊びを考えたそうだ。その山には、猟師が泊まる場所として活用されている山小屋があり、そこで2,3泊泊まろうという計画で、ばあちゃんは友達4人と山遊びに出かけた。
友達4人の名前を仮に、桃田、犬飼、猿渡、雉谷とする。
どの人も小学校からの幼馴染で、中学高校も同じで俗に言う仲良し5人組である。桃田、犬飼は女子、猿渡、雉谷は男子だったのでバランスもちょうど良かった。
山遊び当日、ばあちゃん達は山の入り口へ集まった。その日は雲ひとつない山遊びには最適な天気であった。まずは、荷物を置きに山小屋のある場所へと目指すことにした。久しぶりの山に全員苦戦した。男子組みも息切れが激しい。山小屋へ着いた時は、全員へとへとでこの後山を探索する予定がなくなってしまうのではと、ばあちゃんは懸念していたらしい。
「うそだろ?この山ってこんなにきつかったっけ?」
山小屋へ着いてから全員無言を貫いていたが最初に口をうごかしたのは雉谷だった。
「しんどかった〜。」
などのたわいもない会話をして、また再び沈黙してしまった。結局、昼飯をみんなで食べて体力を回復したのちに探索に行こうと決めた。
昼飯を済ませ、探索に行く時が来た。ひとまず、2人と3人に分けて適当に探索をして陽が沈む前、5時半には一旦小屋に戻ろうと言う話になった。ばあちゃんは、桃田、猿渡と組むことになり2グループは早速散らばっていった。
「とりあえずまず山道から歩こう。無闇に迷うと帰ってこれなくなるし。」
という猿渡の助言に従って山道を登っていった。この山は整備されていない道も多く、そこに入ると遭難してしまうかもしれない、という恐怖をばあちゃんは抱えていたそうだ。そして、猿渡が「まず山道から」と言ったのでいつかはそういったところに入らなくてはいけないのではと思っていた。その予感は的中し、ついに
「じゃあ、未開の道を探索してみるか?」
と猿渡が呪いの言葉を放った。
「えー!迷ったらどうするの?夕方までに小屋に戻ってこれなくなるよ!」
と、桃田が猛反対する。ばあちゃんもそれに合わせて猛反対したが、猿渡は聞く耳を持たず1人で山道から外れた道へ歩き出してしまった。仕方なく2人は猿渡を追わざるを得なくなった。
「大丈夫!通った道は覚えておくから!平気平気!」
と猿渡が言うものの、説得力は皆無であった。何故なら、猿渡はクラスで一二を争うほどのバカでありすぐに物事を忘れてしまうからだ。この世界一信用のできない言葉に対し、ばあちゃんは何がなんでも自分が記憶するしかないと心に誓ったと言う。
やはり整備されていない道は歩き辛く、尖った岩だの、無駄に伸びている枝などが進路を阻んだため、そう遠くへは3人はいけなかったが、開けた場所を発見した。そこは、山の他の場所と雰囲気がおかしいと気付くのに3人はさほど時間をかけなかった。とても湿っており、薄暗く、風が吹いていないのだ。そして、なによりも虫や鳥の鳴き声が聞こえなくなった。とても陰惨とした雰囲気にそこは包まれていた。そしてその奥には、未開の山小屋がぽつんと慄然さを出しながら立っていた。
「なんだここ?山小屋がもっとあったなんて知らなかったぞ!」
と、猿渡は興奮している。
「ねぇ、ちょっとここおかしくない?もう帰ろうよ!」
「そうだよ!勝手に入っちゃまずいよ!元の道に戻ろう?」
と、2人が止めるも、また猿渡は聞く耳を持たずずかずかと侵入していく。
「山小屋の中に入ってみようぜ!」
もう歯止めがきかない猿渡を見送るわけにはいかず、猿渡の後に2人は続いたが
「山小屋だけには入りたくない。」
と頑なに桃田が断っている。桃田は霊感持ちでいつもおかしなことを普段から言っていたため、霊感がないばあちゃんでも危険を感じたと言う。
「はいはい、またいつもの霊感ですか。じゃあ小屋の前で待っててよ。なんもなかったらすぐに出て行くから」
猿渡なんか身近にもいそうな存在で消えてほしくない…
まろです。祖母は猿渡の顔なども鮮明に覚えているそうで、あの時のことは忘れられないそうです。未開って怖いですよね。今の文明に支配されておらず自然の状態が一番怖いと思います。
桃田=桃太郎 猿渡=猿 犬飼=犬 雉谷=雉
考察ですが仮名の付け方って「桃太郎に」沿っているんですか?
まろです。その通りです!ちょっとした遊び心です!
まろです。その通りです!ちょっとした遊び心です!
けっこう怖かったです