仕事の帰りに倒れた祖父
投稿者:kaochi (2)
短編
2023/02/09
09:02
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私の祖父が亡くなった時の話です。
その日はとても寒い日でした。仕事から帰る電車の中で、心臓に持病のあった祖父が倒れてしまいました。親切な乗客の方と駅員によって病院に運ばれましたが、助かりませんでした。祖父の帰りを家で待っていた祖母に連絡があったのは、ずいぶん経ってからでした。
祖母は近くに住んでいた叔父に連絡をするのがやっとでした。叔父から親戚一同に連絡があり、皆で祖母の家に集まりました。悲しみに暮れる間もなく、決めなくてはいけないこと、やらなくてはいけないことがたくさんあります。翌日がお通夜、翌々日が告別式となりました。私はまだ子供だったので、祖父が亡くなってしまった意味がわからずにいました。
一週間後に初七日が行われました。私と弟は先に家に帰ると後から帰ってきた父から祖母の話を聞きました。
祖母は「告別式が終わった次の日に祖父が帰ってきた」と言うのです。祖父はいつものように仕事から帰ってくると、いつものようにコタツに入り「今日は寒いから、早く帰ってきたんだよ。」と言うと、スーッと消えてしまったそうです。
私はこの話を聞いて、ようやく祖父が亡くなったことを理解しました。祖父は祖母のところへ帰りたかったのだと。祖母も帰ってこない祖父をずっと心配していたのだと。
怖いけれど、怖くない話でした。
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成仏出来たんですよ。